相続ブログ

BLOG

不動産の相続財産調査をするときは名寄帳も取得しましょう

2023年03月01日
法務税務

不動産の相続財産調査は意外に難しい

相続における財産調査で意外に難しいものが、不動産です。

「不動産って自宅のことでしょ?そんな大きな財産を見落とすはずがない!」と思われるかも知れませんが、相続財産調査において不動産の把握漏れが生じることは、それほど珍しいことではありません。

自宅以外に不動産をもっているケースは沢山ある

親が自宅以外の不動産をもっていたことを、相続で初めて知るケースは少なくありません。

なぜなら亡くなられた親もまた、生前に、そのご両親や兄弟などから不動産を相続している場合があるからです。

いつ誰が何のために取得したかもよくわからない山奥の遊休地を、先祖代々引き継いでいることもあります。

こうした不動産の存在を、ご家族が知らなかったとしても無理はありません。

土地の分筆に注意

「不動産は自宅だけと聞いているから大丈夫」と思っていても、実家の敷地である土地の登記上の地番や権利関係を確認したことのある人はごく少数でしょう。

自宅の敷地は、一つの土地に見えても、実は複数に分筆登記されている場合があります。

たとえば、住所は「15-1」でも、登記上はその中に「15-2」や「15-3」の部分があったりするのです。

そのうちの一つが、実は被相続人ではない人の名義になっていることもあるかも知れません。 相続財産調査では、一つ一つの登記内容をきちんと確認する必要があります。

非課税の不動産に注意

「固定資産税の課税明細書を見れば、不動産の把握漏れは絶対にないでしょ」という場合も注意が必要です。

固定資産税の課税明細書とは、固定資産税・都市計画税の税額通知書とともに送付されてくる書類です。

毎年、区市町村が不動産の所有者宛てに送付します。

対象となる不動産の地番や地積、固定資産税評価額などを記載してくれているため、これがあれば不動産の相続財産調査を完了できる場合もあります。

しかし、課税明細書に記載されている不動産は、固定資産税の課税対象になるものですので、たとえば道路として使用されている非課税の不動産(いわゆる私道)などが表示されないことがあります。(区市町村によって異なります)

相続財産の調査対象に、固定資産税がかかるかどうかは関係ありませんので、固定資産税が非課税である不動産も当然に把握しなければなりません。

・名寄帳を活用しましょう

被相続人の不動産を調べる際は、固定資産税課税明細書に加えて名寄帳も確認しましょう。

・名寄帳(なよせちょう)とは

名寄帳とは、不動産を所有者ごとにまとめた一覧表のことです。

区市町村の資産課税を担当する部署が管理しています。

役所によっては、固定資産税の課税台帳と兼ねている場合があります。

・なぜ名寄帳を確認するのか

名寄帳で確認できる内容は、固定資産税の課税標準額、評価額、課税額などで、基本的には固定資産税の課税明細書に記載されている内容と同じになります。

ではなぜわざわざ名寄帳を確認するのかというと、名寄帳であれば、固定資産税の課税明細書には表示されない「非課税の不動産」も掲載している区市町村があるためです。

ただし、役所によっては名寄帳に非課税の不動産を掲載しない場合もあり、課税明細書と同じ情報しか得られない可能性もあります。

事前にホームページや電話などで確認を取るとよいでしょう。

・固定資産税課税明細書も必要な理由

名寄帳で把握できるのは、その区市町村の管轄内の不動産のみです。

たとえば、被相続人がA市とB市で不動産を所有している場合、A市役所で確認できるのはA市の不動産のみとなります。

そのため、固定資産税の課税明細書が遺品などから確認できる場合は、まずはその内容を確認して、被相続人がどのエリアで不動産を所有しているのかを把握します。

その上で、該当する役所で名寄帳も確認すると、不動産の把握漏れをかなり防ぐことができます。

・名寄帳の申請方法

相続人であれば、名寄帳の交付申請や閲覧申請が可能です。

手数料の有無や申請に必要となる書類は、事前に申請先である役所のホームページで確認しましょう。

・不動産の調査や相続税の申告は税理士に依頼を

相続財産の調査をした後は、相続税の申告が必要になるかどうかを判断しなければなりません。

相続税の申告が必要かどうかは、不動産を含むすべての財産の相続税評価が必要です。

不動産の相続税評価額の計算には専門知識が必要で、評価額を抑えるコツを知らなければ、必要以上に相続税を納めてしまうことになりかねません。

財産調査や法定相続人の調査を含む相続後の対応は、相続専門の税理士にご相談ください。