生前対策

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生前対策

生前対策をする事で 大切な人への不安を払拭しませんか。

急な相続は大切な家族を混乱に陥れてしまう恐れがあります。
残される家族が円満な生活を続けられるよう、今からきちんと準備を始められては如何でしょうか。こちらではそのための相続の生前対策についてご説明いたします。

相続の生前対策とは

相続の生前対策とお聞きすると「節税対策」をまずは想像されるのではないかと思います。
もちろん「節税対策」は重要ではありますが、これからも生活していく家族にとっては「相続」が「争続」とならないよう「遺産分割」をきちんとしておく事、そして家族が相続税を払う時に困ることがないよう「納税資金」を準備しておく事も相続に対する重要な生前対策となります。

3つの重要な相続対策

  • 遺産分割対策(争続対策)
  • 納税資金対策
  • 節税対策

遺産分割対策

相続に関する問題のほとんどは財産をどのように分けるかが原因となります。財産争いのせいで今までの家族関係が拗れてしまうようなケースも少なくありません。「相続」のつもりがいつの間にか「争続」に化してしまうわけです。
相続が開始する前から相続人の間で話し合い、きちんと折り合いを付けておく事がとても重要です。そして、遺言書により財産をどのように分けて相続するかを定めておくとより安心です。

納税資金対策

納税資金について問題となるケースは、相続財産の大部分を不動産が占め、現預金は少ない場合が考えられます。
現預金が少ないばかりに、納付のため泣く泣く不動産を売却するしかなくなるような不幸な事態に陥るかもしれません。おまけに、売却しようにも思うように買い手が見つからず不本意な金額で手放さざるを得ない事もあるかもしれません。
そのような事態を回避する為にも、ご自身の財産状況を考えて納税資金の準備をしていきましょう。

納税資金対策の方法

生命保険の活用

生命保険に入っていると相続税の納付前にまとまった現金が入ってくることになりますので安心です。また、節税効果もありますので生前対策としては効果の高いものとなります。

自身にかかってくるであろう相続税額を計算して検討してみて下さい。

受取人は相続人にしておきましょう。

不動産の売却

相続が開始してから不動産を売却するようでは、相続税の申告期限(10ヶ月)も限られているため希望する額で売却する事が出来ない恐れがあります。
相続人が欲しがらないような不動産を所有されている場合には手放すのも一つの対策であると言えます。

金融機関からの借入

銀行借入により相続税を納めるという方法も考えられます。
この場合、銀行借入の金利が延納の金利より低いと効果があります。

物納の可能性

相続税は基本的に現金納付が原則となります。
ただし、相続の申告期限(10ヶ月)までに納付が困難な場合は、「延納」さらに「物納」による方法があります。
ただし、物納は申請してから許可が下りるまでおよそ3ヶ月以上かかります。
さらに、境界線が明らかでない土地の場合や貸宅地などは許可が下りません。
反対に、換金性の高い土地であれば売却したほうが得になる場合も十分に考えられます。
土地以外でも換金性が低ければ許可が下りないこともあります。
以上の事から「物納」による納税をしないためにも納税資金対策を事前に講じておくことをお勧めします。

節税対策について

誰しも相続税については少しでも安くしたいと考えるのではないでしょうか。
相続税の対策はしっかりとしておけば確実に節税をする事ができます。
そのためにも節税の知識を身につけておきましょう。ここでは、大まかに分けて4つの相続税に関する節税の方法をご紹介いたします。

相続税の節税方法 4パターン

  • 「贈与」による節税
  • 「養子縁組」による節税
  • 「保険活用」による節税
  • 「不動産活用」による節税
  • ※「贈与」と「養子縁組」による節税は別ページとなります。

「保険活用」による節税

生命保険を利用した相続の対策には以下のようなメリットがあります。ここでは、それらの内容を説明します。

生命保険によるメリット

このページの冒頭でも記載しておりますが、生前対策とは下記の3つを指します。

3つの重要な相続対策
  • 節税対策
  • 遺産分割対策(争続対策)
  • 納税資金対策

生命保険はその全てに該当する実に効果的な生前対策です。

メリット1 節税対策

生命保険の死亡保険金は相続税の対象となります。
ただし、「500万円×法定相続人の数」は遺族の生活を守るため非課税と定められています。
つまり、現金で持っている場合は全て相続税の対象となりますが、保険にかえることで以下のような節税効果が得られます。

配偶者が生命保険2,000万円受け取った場合
  • ※保険金を受け取った相続人が1人でも「法定相続人の数×500万円」が非課税となります。
メリット2 遺産分割対策

生命保険は受取人が既に契約の段階で決定しています。
そのため、遺言書がない場合は遺産分割協議をするのですが、死亡保険金については受取人が決定しているためその対象にはなりません。
相続人の誰かが遺留分減殺請求(最低限相続できる財産の権利を主張)をした場合にも死亡保険金は対象になりません。
このように死亡保険金は遺したい相手に確実に残せるため、家族間のトラブルを回避することができます。

メリット3 納税資金対策

納税資金対策の「生命保険の活用」でも記載していますが、納付前にまとまった現金が入ってくるということが強みです。
また、銀行に比べて利息が高い商品も多いことや、支払期間中は所得税の控除にも活用できるという点も強みとして挙げられます。

お客様の疑問Q&A

  • 相続を放棄しても生命保険を受け取る事ができますか?

    死亡保険金については「相続放棄」により放棄する一切の権利には該当しません。

    なぜなら、死亡保険金につきましては、相続財産ではなく受取人の固有の財産とみなされるのです。

    つまり、相続放棄をした人でも生命保険は受け取る事ができるという事になります。

  • 生命保険を利用した相続は孫でも使えますか?

    お孫さんが受け取る死亡保険金については、そのお孫さんが法定相続人でない限りは非課税枠(500万円×相続人数)に該当しません。

    この場合は遺贈という扱いになります。

    ただし、子の世代を経由せず一代飛ばすことで、本来2度あるはずの相続を1度で済ます事になるため二次相続対策としては有効な場合もあります。

    お孫さんの税額は20%加算になるというデメリットもありますが、それも含めて検討する価値はあると言えます。

  • どのような生命保険がおすすめですか?

    生命保険には「定期保険」、「終身保険」、「養老保険」とあります。

    相続税の生命保険非課税枠を利用するのでしたら基本的には「終身保険」を選択して下さい。

    ただし、その方にとって本当にその選択がベストかは状況次第でかわってきます。

    必ず、保険屋さんや税理士に相談した上で検討して下さい。

  • 相続税がかかりそうなのですが、保険は加入すべきですか?

    相続税がかかるのであれば、生命保険の非課税枠を活用する事は相続税の軽減にとても有効です。

    生命保険の非課税枠は以下の通りです。

     

    500万円 × 法定相続人の数 = 生命保険の非課税枠

     

    相続人が妻と子供2人の場合でしたら、500万円×3人=1,500万円が相続税の非課税枠となります

    死亡保険金として受け取る1,500万円には税金はかかりません。

    現預金で遺産として残すくらいでしたら、生命保険に加入される事をおすすめします。

「不動産活用」による節税

相続税は現金で相続するよりも、その金額で不動産を購入した方が安くなるという話を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際にどれくらい差があるのかや、不動産で相続することのメリット・デメリットについてこちらでは説明いたします。

不動産の相続税対策としての有効性

現金や有価証券で相続する場合、その評価は時価となります。
しかし、不動産を相続する場合は「路線価」「固定資産税評価額」などから評価します。
これらの評価額は時価に比べ低くなるため、その差分だけ節税対策になるとされています。
その他にも、いくつも相続税評価額を下げる理由が不動産にはあります。ここではそれらの内容について説明します。

土地の評価額

土地は一般的に路線価を元に評価します。
だいたい路線価による相続税の評価額は、実勢価格の70~80%と言われます。

(例)1,000万円で購入した土地
相続税評価額 1,000万円×80%=800万円
建物の評価額

建物の評価額は固定資産税評価額により算出します。
固定資産税評価額による相続税の評価額は、実勢価格の60~70%と言われます。

(例)1,000万円で建築した建物
相続税評価額 1,000万円×70%=700万円
賃貸による評価額

不動産の場合、相続税の評価額は実勢価格より3割ほど低くなります。(上記の通り)さらに、賃貸に出している場合はそこからもう一段階評価が引き下げられます。

土地はおよそ相続税評価額の20%控除

(例)1,000万円で購入して賃貸している土地
相続税評価額 1,000万円×80%×(100%ー20%)=640万円

建物はおよそ相続税評価額の30%控除

(例)1,000万円で購入して賃貸している建物
相続税評価額 1,000万円×70%×(100%ー30%)=490万円

賃貸すると現金で持っている状態に比べて相続税評価額は50%ほどになります。

小規模宅地の特例

相続では基本的に財産を受け継ぐと相続税がかかります。
だからといって、亡くなった方(被相続人)と一緒に住んでいた宅地についても同じように課税されるからといって手放す訳にはいきません。
そんな時に見方になってくれるのが「小規模宅地の特例」です。

「小規模宅地の特例」とは被相続人(亡くなった方)から居住用や事業用の宅地について一定の要件を満たして相続した場合に評価額を80%減額してもらえる規定です。

(例)評価額1億円の宅地を相続した場合
相続税評価額 1億円×(100%ー80%)=2,000万円
特例の大まかな要件
用途
居住用、事業用
利用状況
申告期限まで継続利用(配偶者は継続要件なし)
面積
居住用(330m2)、事業用(400m2)まで
建設途中の家屋

建物の評価については上記で固定資産税評価額により算出と紹介しました。
しかし、その家屋が建設中の場合は固定資産税の評価額が付与されておりません。
こういった場合は以下のように算出されます。

建設途中の建物の評価

総工費×進捗率(工事の進行割合)×70%

(例)総工費5,000万円、進捗率20%の建設途中の家屋「を相続した場合
相続税評価額 5,000万円×20%×70%=700万円
不動産のその他評価引き下げ要件

不動産の場合、他にも以下のような特殊なケースでは評価の引き下げをする事が可能です。

相続税評価の引き下げ要件
  • 騒音、日照阻害、臭気などにより価値が著しく低下する場合
  • 宅地が不整形な場合
  • セットバックが必要な場合
  • 間口が狭小な場合
  • 奥行きが長大な場合
  • 私道に隣接している場合

不動産の相続税対策としてのリスク

不動産の相続については、「節税対策」としての効果は高いのですが、「遺産分割対策」、「納税資金対策」の面では不安が残ります。ここではそういったリスクの部分を説明いたします。

不動産を相続する場合の注意点

相続財産を節税のために不動産にかえてしまうと「遺産分割」の際に平等に分ける事が困難になります。
1つの不動産を2人以上で所有(共有)する事できますが、今の世代が仲良くても先々の世代に禍根を遺す種となりかねませんので、おすすめしません。
相続財産に不動産がある場合は現預金、有価証券、保険など換金性の高いものも用意しておくことで円滑に相続できるよう段取りする事も遺すものの務めではないでしょうか。

賃貸物件のリスク

相続対策のために賃貸アパートなどを建てた場合、相続時は確かに税額を抑えられます。
ただし、全国でも今は空室率が30%とも言われています。考えなしに言われるまま立地の良くない場所で賃貸アパートを建てたら空室率はそれどころではないのではないでしょうか。
そういった場合、借入をして建てた場合返済もありますし、固定資産税も払っていかなければなりません。
さらに、売却しようと思った時には入居率の悪い建物があるため更地の金額よりも更に低い額で手放さないといけなくなる可能性もあります。

不動産で相続する方が節税になるということは、相続税法における一定の配慮という側面があります。しかし、いくら節税になるからといってその後に親族関係が不仲になったり、何世代にもわたって揉め続ける事になってしまっては節税対策としては成功でも、相続対策としては失敗です。相続税額だけにとらわれずに、換金性の高い財産と不動産のバランスを重視して相続対策をしていただければと思います。