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自分の知らないところで勝手に相続登記されることはある?

2023年02月01日
法務

相続登記とは

不動産の名義変更のための登記を、所有権移転登記といいます。

相続登記とは、相続した不動産の所有権移転登記のことです。

登記簿上の所有者を、被相続人(亡くなった人)から相続等によって取得した人に変更する手続きになります。

相続登記をする方法には、相続人が、必要書類を法務局に提出(郵送・持参)する方法や、オンラインで申請する方法があります。

相続登記の義務化(令和6年4月開始)

現行制度では、相続登記をする義務はありません。

亡くなった人の名義のままで不動産を放置していても、相続人が罰を受けることはないということです。

しかし、不動産を売却しようとしたとき、その不動産が親や祖父母名義のままになっていると手続きを進めることができません。

また、こうした不動産は「所有者不明土地」などとして、災害や復興事業が進められないといった社会問題にもなっています。

そこで、令和6年4月から、相続登記が義務化される改正が行われました。

正当な理由なく3年以内に相続登記をしない場合、10万円以下の過料が科される場合があります。

この改正は、過去に相続した不動産を登記していない場合にも適用されるので注意が必要です。

相続登記は誰が行うの?

不動産の所有権移転登記の申請は、登記権利者と登記義務者が共同して行うことが義務付けられています。

登記権利者とは登記をすることによって利益を受ける人、登記義務者とは登記をすることによって不利益を受ける人です。

不動産の売買でいうと、買い主が登記権利者、売り主が登記義務者にあたります。

相続登記の場合は、もとの持ち主が亡くなっていますので、相続人が申請をします。

相続人が委任した代理人が代わりに手続きをすることも可能です。

プロにお願いする場合は、司法書士の専門分野になります。

原因によって変わる相続登記の必要書類

相続登記といっても、その財産が移転した原因が「相続」であるとは限りません。

法定相続分によって取得した場合、被相続人の遺言書によって取得した場合、相続人同士による遺産分割で取得した場合とでは、法律上、財産が移転した原因は異なります。

この違いによって、相続登記の申請に必要な書類が変わります。

(参考)法務局HP: 不動産の所有者が亡くなった

一般感覚としては、遺言だろうと遺産分割だろうと、どちらも相続によって不動産をもらっただけなのに、なぜ手続きが違うのか戸惑うところです。

書類に不足があれば、法務局は受け付けてくれません。

仕事を一日休んで法務局に相続登記の申請に行くという方もいらっしゃると思いますが、結局、「最初からプロにお願いすればよかった」となる場合もあります。

相続登記を勝手にされることもある?

限られたケースですが、自身の関与しないところで、他の人が相続登記をすることができるケースがあります。

法定相続分による相続登記

法定相続分による相続登記の申請であれば、相続人のうち1人が申請すれば手続きを進めることができます。

まず、相続人ごとの相続権は、被相続人との関係によって民法であらかじめ決められています。

たとえば、相続人が被相続人の配偶者と子であれば、2分の1ずつです。

子が2人いれば、2分の1を均等に分けて各4分の1ずつとなります。

この割合のことを「法定相続分」といいます。

【法定相続分】

相続人法定相続分
配偶者のみ配偶者・・・すべて
配偶者と子配偶者…2分の1
子…2分の1
配偶者と直系尊属配偶者…3分の2
直系尊属…3分の1
配偶者と兄弟姉妹配偶者…4分の3
兄弟姉妹…4分の1

 

もし法定相続分による割合をそのまま不動産の持ち分として相続登記をするのであれば、相続人のうち1人が単独で相続登記を申請できます。

ただし、単独で登記申請をした場合、申請人以外に権利証が発行されないというデメリットがあります。

なお、不動産を法定相続分のまま相続しなければならないという決まりはなく、遺言や遺産分割協議で異なる分け方をすることができます。

もし、法定相続分とは異なる割合で相続登記をする場合や、相続人のうち1人が不動産を丸ごと取得して相続登記をする場合は、相続人全員で申請する必要があります。

債権者による代位登記

相続人の債権者となっている人が、自身の債権を保全するために債務者(相続人)の権利を代わりに行使して登記申請をすることもできます。

これを債権者の代位登記といいます。

財産の差し押さえのために行われる登記です。

登記を申請するのは相続人の債権者ですので、この場合も、相続人に権利証は発行されません。