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デジタル機器の終活とは?スマホやパソコンの引き継ぎも大切な相続準備

2025年05月01日
税務

今、全員がやっておくべく「終活」とは

終活とは、人生の最期をどう迎えたいかを考え、それに向けて準備を進めることです。具体的な内容としては、遺品や財産の整理、その分配に関する希望(必要に応じて遺言書を作成することもあります)、医療や介護が必要なときの対応や葬儀についての希望をエンディングノートにまとめておくことなどが挙げられます。

生前にこれらの思いを伝えておくことで、家族はいざという時に迷わず行動でき、親族同士のトラブルも防ぎやすくなります。また、本人にとっても、心配事が減ることで気持ちが軽くなり、安心して毎日を過ごせるようになるでしょう。家族と本人の両方にメリットがあるため、ぜひ取り組んでおきたい活動です。

デジタル機器の終活で注意すべきポイント

終活を進めるうえで、最近特に重要になっているのが、スマートフォンやパソコンといったデジタル機器の引き継ぎです。現在、多くの人がスマホを使い、連絡先や大切な思い出の写真など、さまざまな情報をその中に保管しています。中には、「すべてスマホに入っている」という人も少なくないでしょう。

しかし、こうした重要な情報が含まれているにもかかわらず、パスワードを家族に伝えないまま亡くなると、家族がスマホやPCにアクセスできず、大切な相手に連絡ができない、思い出の写真を遺影として使えないといった問題が発生する可能性があります。

また、デジタル機器を通じて、さまざまなオンラインサービスを利用している場合、それぞれのサービスごとに異なるパスワードが設定されていることが一般的です。そのため、持ち主が亡くなると、解約手続きが複雑になり、遺族にとって大きな負担となることがあります。

さらに注意が必要なのが、スマートフォンやパソコンを通じて管理されている「デジタル資産」です。ネット銀行、ネット証券、電子マネー、仮想通貨などはデジタル機器のみで管理されていることが一般的ですが、これらは、相続人が引き継ぐべき大切な財産であり、相続税の課税対象にもなります。そのため、どのような財産がどこにあるのか、相続人にわかるよう準備を整えておく必要があります。

このように、終活を進める際には、デジタル機器の引き継ぎと、それに紐付いているサービスや資産の引き継ぎを行うことが大切です。

デジタル機器の終活を進めるポイント

家族と終活について話し合う

まずは、終活の必要性を家族で話し合い、本人に理解してもらうことが最も大切です。本人が関心を持たない場合は、本人の気持ちを大切にするための準備であることや、将来、家族の意見が対立して争わないための準備であることを丁寧に説明してみましょう。

使用中のサービスをまとめる

デジタル機器の終活として、まずは契約中のオンラインサービスをまとめてもらい、それらにログインできる情報を信頼できる家族に引き継いでおくと安心です。これにより、本人が亡くなった後も、解約手続きがスムーズに進みます。

デジタル資産の整理

ネット銀行やネット証券、電子マネーなどのデジタル資産については、一覧にして管理しましょう。

ログイン情報を紙などにまとめる場合は、情報が盗まれないように対策も併せて行うことが大切です。

また、金融機関では契約時に本人確認が行われています。

そのため、ログインのパスワード等がわからなくても相続手続きはできるため、その点も考慮し、ご家族と話し合っておくと良いでしょう。

なお、ログイン情報が残しにくい場合でも、金融機関名や口座番号などはエンディングノート等に一覧で残しておくと安心です。

連絡先や写真の整理

友人や恩師といった大切な人の連絡先は、すべてスマホに入っているという人も多いでしょう。病気の時や亡くなった時に知らせたい相手のリストを作成し、スマホの解除パスワードを信頼できる家族に伝えておくと安心です。

また、遺影に使いたい写真や大切な思い出の写真がスマホやパソコンに保存されている場合もあるかと思います。好きな写真を選んで、あらかじめ家族に預けておくと安心です。

家族がデジタル機器を遺して亡くなったら

遺品から手がかりを探す

まず、その遺品や本人宛の郵便物、口座の引き落とし情報やクレジットカードの請求書などから、契約中のサービスやデジタル資産の有無を確認しましょう。

スマートフォンやパソコンにロックがかかっていない場合は、専用サービスのアプリをインストールしているかを画面上で確認する方法も参考になります。

なお、仮想通貨の取引をしている場合、確定申告書の写しがあれば、その内容からわかることもあります。(株や投資信託は確定申告不要制度やNISAがあるため、確実に把握できるとは限りません)

オンラインサービスは解約手続きをする

必要のないオンラインサービスがわかれば、ホームページなどを検索して連絡を取り、相続が発生した旨を伝えて解約を申し込みましょう。

なお、口座引き落としやクレジットカードで決済をしているサービスは、本人が亡くなったことを銀行やクレジットカード会社に連絡し、それぞれを凍結・停止させることで契約が解除されることもあります。しかし、契約解除までどのくらいの期間を要する契約になっているのかの確認は困難であり、契約解除までの滞納分を相続人に請求されることがないとはいいきれません。

判明したものはできる限り相続人側から連絡をとると良いでしょう。

金融機関は相続手続きをする

ネット銀行やネット証券、仮想通貨の交換所などの口座が見つかった場合は、それらに問い合わせましょう。

通常、これらの「機関名 相続手続き」などでインターネットで検索をすると、相続人のための専用の窓口や手続きの案内のページにたどりつけることが多いです。

この時、遺産分割や相続税申告のために、残高証明書も発行してもらうようにしましょう。