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相続財産に自動車がある場合

2021年03月02日
税務

相続財産といえば、預貯金や不動産などが該当することはわかりやすいと思いますが、自動車はどうでしょうか。
実は、被相続人名義の自動車も相続財産になります。
自動車を相続するとき、考えなければならないのは、
・自動車の相続手続き(名義変更)
・自動車にかかる相続税
の2つです。

 

 

 

 

自動車の相続手続きの手順

自動車の新しい所有者となった人は、自動車の「移転登録」という名義変更の手続きを行います。
何も手続きをしないでおくと、後に自動車を譲渡・廃車しようとしたときにスムーズに進まないことがあるため、早期に対応することが望ましいです。
名義変更は、次の1~3の手順で行います。

手順1:自動車について話し合う

自動車は何も手続きをしなければ自動的に法定相続人の財産となり、もし法定相続人が複数いれば、全員の共有状態となります。
この状態から遺産分割によって特定の相続人が新しい所有者になるケースが多いと思いますが、この場合、「相続人全員」から「特定の相続人」に所有者が変わったという移転登録の手続きを行うことになります。

手順2:車検証を確認する

移転登録は、自動車の所有者が変わった場合に行いますが、もし自動車の「所有者」が被相続人でない場合は必要ありません。
自動車のローンが残っている場合、所有者がディーラー等で「使用者」だけが被相続人になっていることがありますので、車検証で確認しましょう。
所有者が被相続人でなければ、名義変更の手続きはなく、所有者に相続があったことの連絡を行います。

手順3:必要書類を収集する

移転登録のための必要書類をあらかじめ収集します。
具体的な書類については「名義変更に必要な書類」の項目をご覧ください。

手順4:運輸支局・軽自動車検査協会に申請する

必要書類がそろったら、運輸支局(軽四自動車の場合は、軽自動車検査協会)に申請を行います。
ナンバーを変更するときは車両の持ち込みも必要です。

特定の相続人への名義変更に必要な書類

特定の相続人に名義変更するために必要な書類は、
・相続人全員で手続きをする場合
・新しく所有者になった相続人だけで手続きをする場合
で変わります。
ここでは一般的な必要書類をご紹介します。

相続人全員で手続きをする場合

<共通書類>
・自動車検査証
・戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)
・車庫証明書

 

<相続人全員での手続きで必要となる書類>
・相続人全員の印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
・相続人全員の実印
・譲渡証明書

 

戸籍謄本は、被相続人の死亡と相続人全員が確認できるものが必要です。
標準的なケースでは、
・被相続人の戸籍謄本(除籍謄本の場合もある)
・相続人それぞれの戸籍謄本
を、各市町村から取り寄せることになります。
車庫証明書は、原則は必要ですが、同居家族から相続した場合は、不要となることがあります。

新所有者(相続人)のみで手続きをする場合

<必要書類>
・上記の共通書類
・新所有者の印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
・新所有者の実印
・遺産分割協議書(または遺産分割協議成立申立書)

新しく所有者となった相続人だけで手続きを行う場合、印鑑証明書と実印は本人分のみとなりますが、相続人全員の実印が押印された「遺産分割協議書」が必要です。
ただし、車の査定額が100万円以下であることがわかる書類があれば、新所有者となった相続人だけで作成できる「遺産分割協議成立申立書」に代えることができます。
「遺産分割協議成立申立書」の様式は、申請先の運輸局等のホームページなどで確認しましょう。

相続した自動車を売却したい・廃車したい場合

相続した自動車をすぐに売却したい、あるいは廃車したいというケースもあるでしょう。
この場合も、運輸支局(軽自動車検査協会)での手続きが必要です。
必要書類は、
・相続人全員が売却・廃車する場合
・新しく所有者になった相続人が売却・廃車する場合
に分かれます。
相続人側が用意する書類は、特定の相続人への名義変更の書類とほぼ同じですが、異なる部分もある ため、必ず申請先にご確認ください。

自動車にかかる相続税

相続税は、すべての相続財産の評価額の合計から計算します。
自動車の評価額は、原則、相続開始日の売買実例価額で評価することになります。
売買実例価額とは、売ったと仮定したときの値うちのことです。
インターネットでの見積もりや専門業者の査定結果などから算定した価額を利用することが一般的となります。
なお、すぐに売却・廃車したとしても、相続税の対象になります。
相続は、被相続人が亡くなった時に自動的に発生するものなので、たとえすぐに手放したとしても相続の時に被相続人の財産であったものは課税対象になるのです。