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相続人が相続財産を不当に使い込んでいた場合(不当利得返還請求)

2021年06月01日
法務

もし、被相続人(亡くなった人)の遺産が、生前に同居の家族などから使い込まれていたことがわかった場合、相続人には、どのような対応がとれるのでしょうか。

 

 

 

 

意外とある「使い込み」

親と同居している家族が、親の生活費や医療機関への支払いなどのために親の預金を代わりに引き出していると、つい多く引き出し、自分の支払いにも充ててしまうということがあります。
高齢の親や認知症を患った親と同居しているときによくある、「使い込み」のケースです。
このようなとき、親の預金を使い込んだ人物が得た金銭は、民法上の「不当利得」にあたるものと考えられます。
「不当利得」とは、法律上の原因なく、他人の財産や労務によって受けた利益のことです。
不当利得を受け、そのせいで他の人に損失を及ぼした者は、損失を及ぼした者に対し、受け取った利益を返還する義務があります。(民法第703条)
上記のケースでは、親の預金を使い込んだことにより、他の相続人の相続財産を減少させているため、減少させた分の財産を相続人に返還しなければならないということです。
ちなみに、不当利得の返還は相続に限った話ではなく、日常のさまざまな場面で使われます。
たとえば、借金の過払い金を取り返すときなどにも使われる法律になります。

不当利得返還請求とは

不当利得の返還義務に基づき、その返還請求を行うことを不当利得返還請求といいます。

不当利得返還請求の要件

不当利得返還請求ができる要件は次のとおりです。

 

・法律上の原因がないのに、他人の財産や労務によって利益を受けたこと
・他人に損失が生じたこと
・受益と損失の間に因果関係があること

 

法律上の権利がないのに財産を使っていたことや、それによって相続財産が減少している事実があることが前提です。
ただし、相続財産が減少していることを特定することは容易ではありません。
特に冒頭のようなケースは、使い込みの実態が把握しづらく、非常に困難といえます。
状況に応じて、さまざまな証拠集めを検討しなければなりませんので、まずは法律の専門家に相談しましょう。

不当利得返還請求の時効

相続財産の不当利得返還請求ができる要件を満たしていても、以下の期間の「いずれか早い方」を過ぎている場合、時効によって請求ができません。

 

・債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間
・権利を行使することができる時から10年間

 

つまり、使い込みがあったことを知ってから5年以内に請求することが必要です。