相続ブログ

BLOG

公正証書遺言について

2018年06月14日
法務

 

 

公正証書遺言とは

公正証書遺言とは、公証役場にいる公証人が作成に携わってくれる遺言書です。

公証人は過去に裁判官や検事をしていた方がほとんどで、法律のプロフェッショナルと言えます。

そのような公証人が携わって作成する公正証書遺言書は、安全性と確実性が非常に高い遺言書なのです。

メリット

公正証書遺言を作成するメリットは4つあります。

偽造変造のリスクがない

公証人が携わって遺言を作るので、悪意のある相続人に内容を書き換えられたり、勝手に破棄されたりするリスクがありません。

紛失のリスクがない

自筆証書の場合は遺言書を紛失するケースが非常によく起こりますが、公正証書遺言の場合、原本は公証役場で保存されるので、基本的には紛失のリスクはありません。

遺言者にはコピーである謄本が交付されますが、この謄本を紛失しても原本に影響はなく、遺言者が生存中に紛失した場合には遺言をした公証役場で再発行が可能なのです。

また相続開始後に謄本を紛失した場合でも、相続人が交付請求をすることができます。

家庭裁判所による検認が必要ない

公正証書遺言は、公証人と2名以上の証人の立ち会いのもとで作成されることから、遺言の効力に疑問が生じにくい遺言とされています。

法的な有効性も確認されていることから、自筆証書遺言のように家庭裁判所で検認の手続をする必要がないので、相続開始後、速やかに遺言の内容を実現することができるのです。

字が書けない場合や、障害があっても遺言できる

自筆証書遺言は一部でも他人が書いた形跡があると無効となり、秘密証書遺言の場合も遺言者の署名が必要不可欠ですが、公正証書遺言は、字が書けなかったり障害がある人でも有効に作成することができます。

 

また、病気や怪我で公証役場へ行けない人であっても、公証人が自宅や病院まで出張してくれるので、公正証書遺言を作ることができるのです。

公正証書遺言の作成手順

公正証書遺言の大まかな作成の手順は、以下の通りです。

 

  1. 遺言者が遺言内容を考え原案を作成
  2. 公証役場に連絡し、原案を伝えて公証人と内容を確認・検討
  3. 必要書類を用意し公証役場へ届ける
  4. 公正証書遺言の作成時に立ち会ってもらう証人2名を決める
  5. 調整した日程で遺言者、証人2名で公証役場へ出向く(平日のみ)
  6. 内容を確認し、間違いがなければ遺言者、公証人、証人2名が署名・押印
  7. 公正証書遺言の正本が遺言者に渡され、公証人の手数料を支払う

必要書類

公正証書遺言を作成するのに必要な書類は以下の通りです。

 

  1. 遺言書を作る人の戸籍謄本(現在のものだけでOK)
  2. 遺言書を作る人の印鑑証明書(発行から3か月以内のもの)
  3. 相続人の現在の戸籍謄本

  4. 相続人ではない人に遺産を残す遺言を作る場合には、その人の住民票
  5. 不動産の固定資産税の納税通知書
  6. 不動産の登記簿謄本
  7. 預貯金の金融機関や支店名のわかる資料(残高証明書などでなくてもOK)

など…

 

公正証遺言書の作成に必要な書類はとても多いため、まずは一度、公証役場に「こんな感じの遺言書を作成したいので、必要な書類を教えてほしい」と問い合わせれば確実だと思います。

証人になれる人はどんな人?

公正証書遺言を作るためには、証人を2名以上連れて行かなければならないのですが、この証人は近い親族はなれないのです。

具体的には以下の人が、証人になることができません。

 

  1. 遺言を書く人の相続人
  2. 相続人の配偶者や直系血族

など…

 

例えば、父が遺言書を作ろうとする場合、その相続人である妻や子供は証人になれません。そして相続人の配偶者や直系血族、つまり子供の妻や、孫も証人にはなれないのです。

 

では、誰に証人になってもらえばいいのかというと、相続人でも直系血族でもない甥や姪、 また、信頼できる友人や知人にお願いしてみるのもいいかと思います。

どうしても証人になってもらえそうな方が周囲にいない場合は、公証役場で証人になる方を紹介してもらうことも可能です。