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相続税の申告をしないと税務署にばれる本当の理由
目次
相続税の申告漏れ・無申告がばれる理由
国税庁は、令和3事務年度における相続税の申告漏れ等の件数を5,532件、無申告の件数を502件と発表しました。
件数についてはコロナ前の半分程度に落ち込んでいますが、注目すべきは、この件数が、実地調査全体の件数の9割近くにのぼることです。
この年度がたまたま当たり年だったわけではなく、例年、この水準で推移しています。
ではなぜ税務署が9割近い確率で申告漏れ等を見つけられるのかというと、独自の調査網によって、申告漏れや無申告の可能性がある人物がいないかどうかを調べているからです。
相続税の申告漏れ・無申告がばれる4つのしくみ
税務署は死亡届の内容を把握している
ご家族が亡くなったときの手続きの1つに「死亡届の提出」があります。
死亡日から7日以内にすることが義務付けられている手続きです。
この死亡届は役所でおこないますが、受理された死亡届の情報は、翌月末までに所轄の税務署に通知されることになっています。
つまり税務署は、管内でいつ誰の相続が発生したかをすべて把握しているのです。
預貯金の動きや登記の情報がばれている
税務署は、個人のお金の流れを、個人や法人からの確定申告等の手続きによって把握することができます。
「私は確定申告をしていないから大丈夫だ」と思っていても、個人に給与や報酬を支払うのは企業であり、企業側から税務署に、源泉徴収票や支払調書などの書類で、誰にいくら支払ったかを報告するしくみがあります。
また、税務署は、調査のために外部機関の情報を入手する権限をもっています。 口座の流れや不動産登記などの情報も、税務署が調べようとすれば筒抜けになるのです。
現金での贈与・相続もばれる
「現金での贈与や相続であれば、税務署にばれずに贈与税や相続税を免れられるのでは」と思うかもしれませんが、これもばれる危険性大です。
国税庁に寄せられる個人や法人から得た膨大な税務関連のデータベースと、外部機関の協力を得て調査した情報を突合すれば、不自然なお金の動きを見つけることは難しくありません。
たとえば、相続人が、相続後に自宅の不動産をローン無しで購入したという情報がある場合、「相続前の資産状況からして、この人がローン無しで購入したとはちょっと考えにくいなあ」というところから、相続税の申告漏れや無申告の可能性を疑われ、現金での受け渡しを含めて調査されることがあります。
ちなみに、相続開始前3年以内に暦年課税で贈与された財産は、基礎控除110万円に関係なくすべて相続税の課税対象に持ち戻されます。
この「3年以内」は、税制改正によって延長されます。詳しくはこちらの記事もご覧ください。
【贈与税の課税方法が改正!令和6年から相続税対策が変わります】
電話や文書で探られることも
税務署は、申告漏れや無申告の可能性があるすべての人に実地調査をするわけではありません。
こうした可能性がある段階で、電話や文書による簡易的な調査をしてくることがあります。
電話や文書であっても、受ける側にやましいところがあれば恐ろしい調査ですから、普通は正直に回答することになるでしょう。
こうした税務署からの簡易な接触は、令和3事務年度においては14,730件おこなわれており、このうち3,638件で申告漏れ等が発覚しています。
相続税の申告漏れや無申告がばれたらどうなるのか
申告義務に対するペナルティ:加算税
相続税の申告をせず、後にそれが税務署の調査でばれたとき、納付すべき税額の15%(50万円を超える部分に対しては20%)の税率で「無申告加算税」が追加されます。 また、期限内に相続税の申告はしたものの財産を少なく申告していたことがばれた場合は、不足税額の10%(50万円を超える部分に対しては15%)の税率で「過少申告加算税」が追加されます。
納税義務に対するペナルティ:延滞税
期限内に納税しなかったことについてのペナルティとして、「延滞税」も日割りで発生します。
相続税の申告をせずに放置している方へ
相続税の申告漏れや無申告は、放置しているとだんだん面倒になってきて、「連絡もないし、もしかすると意外と大丈夫なんじゃないかな」「いっそのことばれるまで黙っていようかな」と考えてしまいがちです。
多忙な日々の中で、このような考えに至る気持ちは非常によくわかるのですが、ペナルティとしての加算税や延滞税は、残念ながら放置するほど増えてしまいます。
逆に、税務署から通知がおこなわれる前に相続税の申告をすれば、それは自発的におこなわれた申告であるとして過少申告加算税はかかりません。無申告加算税の場合も、5%で済みます。
つまり、今が一番税金の安い時なのです。
また、税務署からの接触に対し、嘘をついてごまかそうとすることはおすすめしません。
その嘘が「偽りその他不正の行為により相続税を免れた」「事実を仮装・隠蔽した」などと判断されてしまうと、最大40%の重加算税や、最悪の場合は刑事罰の対象になってしまうおそれがあるからです。
そして、ごまかそうとする気持ちがなくても、きちんと申告をしなかったという負い目を抱きながら対応しなければならない時間は、気分のいいものではありません。多くの方にとっては苦痛に感じられるはずです。
相続税の申告をまだしておらずご不安を抱えていらっしゃる方は、当事務所にご連絡ください。
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