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法務局における遺言書の保管について

2022年11月01日
税務

遺言書の保管制度とは

遺言書の保管制度とは、作成した遺言書を、遺言書保管所(法務局内)に預ける制度のことです。

遺言書の保管制度のメリット

・遺言書の紛失防止

遺言書を紛失する心配がありません。

・利害関係者による不正抑止

相続人など、遺言の利害関係者に遺言書を改ざんされてしまうといった不正を抑止できます。

保存期間

遺言保管所では、預かった遺言書の原本と、その画像データを保存します。

それぞれの保存期間は下記のとおりです。

・原本:遺言者の死亡後50年

・画像データ:遺言者の死亡後150年

対象となる遺言書

遺言書の保管制度の公的な呼称は、「自筆証書遺言書保管制度」になります。

その名のとおり、対象となる遺言書は「自筆証書遺言」です。

簡単にいうと、自分で手書きした遺言書のことです。

手書きといっても、法的に有効であるためには、最低限、守らなければならない形式的なルールもあります。

また、制度によって保管してもらうには、用紙のサイズや余白などにもルールがあります。

法的要件や、用紙サイズ等の要件は、下記を参考にしてください。

(参考)法務局HP:自筆証書遺言書保管制度

https://www.moj.go.jp/MINJI/03.html

(注意)遺言書の有効性を保証する制度ではない

前述のとおり、自筆証書遺言が法的に有効であるためには、最低限、守らなければならない形式的なルールがあります。

「遺言書を預ければ、こうしたところもチェックしてくれるのでは?」と誤解されやすいのですが、この制度は、遺言書が法的に有効であるかどうかを保証する制度ではありません。

そのため、遺言書の書き方や内容に不安がある場合は、預ける前に専門家に相談しておく必要があります。

遺言書を保管してもらうまでの手順

遺言書を作成する

まずは、「自筆証書遺言」を作成します。

遺言書保管所(法務局)では、遺言書の書き方の指導はしないことになっていますので、法務省のホームページなどをよく確認し、遺言書を作成しましょう。

(参考)法務局HP:自筆証書遺言書保管制度

https://www.moj.go.jp/MINJI/03.html

必要書類を準備する

遺言書を預けるには、遺言書保管所(法務局内)に「保管申請」をする必要があります。

申請には、下記の書類が必要です。

・遺言書

・保管申請書

・添付書類(本籍及び筆頭者の記載入りの住民票の写しなど)

・身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード等)

・手数料(1通3,900円)

「保管申請書」は、あらかじめ法務局の窓口でもらうか、下記のHPから印刷して入手します。

(参考)法務局HP:自筆証書遺言書保管制度

https://www.moj.go.jp/MINJI/06.html

必要書類については、下記もご確認ください。

(参考)法務局HP:自筆証書遺言書保管制度

https://www.moj.go.jp/MINJI/02.html#shinsei

申請予約をする

遺言書の保管申請には、事前の予約が必要になります。

予約する方法には、予約専用HPからインターネットで予約する方法と、電話や窓口で予約する方法があります。

(参考)法務局HP:自筆証書遺言保管制度

https://www.moj.go.jp/MINJI/08.html

なお、予約先は、遺言書を保管してもらう遺言書保管所(法務局)です。

どの遺言保管所に保管してもらうかは、下記の3つから選択することができます。

・遺言者の住所地の遺言保管所

・遺言者の本籍地の遺言保管所

・遺言者の所有する不動産の所在地の遺言保管所

保管申請を行う

予約当日、必要書類を持参して、遺言書保管所(法務局)に出向き、保管申請を行います。

保管証の受領・保管

遺言書の保管手続きが完了すると、保管証が交付されます。

保管証があると、後に相続人が遺言書を閲覧する際の手続きがスムーズになりますので、大切に保管しましょう。

保管証は再発行ができません。

法務局のホームページでは、保管証の写しを作成し、ご家族に預けることなどを推奨しています。

遺言書の内容を確認・変更したい場合

遺言書を預けた後、遺言書の内容を確認したい場合や内容を変更したい場合もあると思います。

そうした場合は、下記の手続きを行います。

遺言書の内容を確認したい場合

遺言書保管所(法務局)に「遺言書の閲覧の請求」を行うことで、預けた遺言書を閲覧することができます。

閲覧方法には、原本の閲覧とモニターでの閲覧(画像データの閲覧)のどちらかを選ぶことができますが、モニター閲覧のほうが料金が安く、さらに、原本を保管していない遺言書保管所でも対応してもらえます。(参考:モニター1,400円、原本1,700円)

なお、「遺言書の閲覧の請求」にも、予約が必要です。

まずは「遺言書の閲覧の請求書」を作成し、保管申請と同じ方法で予約をします。

予約当日は、身分証明書などが必要です。こちらでご確認ください。

(参考)法務局HP:自筆証書遺言保管制度

https://www.moj.go.jp/MINJI/02.html#seikyu

遺言書の内容を変更したい場合

一旦、預けている遺言書の「撤回の申請」を行い、遺言書を返してもらった後、新たに「保管申請」をする方法があります。

「撤回の申請」は、あらかじめ「遺言書の保管の申請の撤回書」を作成し、原本を預けた遺言書保管所(法務局)に予約を取ります。

予約当日は、身分証明書などが必要です。こちらでご確認ください。

(参考)法務局HP:自筆証書遺言保管制度

https://www.moj.go.jp/MINJI/02.html#tekkai

(注意)撤回しても遺言書が無効になるわけではない

「撤回の申請」は、あくまで預けている状態を解消するだけの手続きですので、返してもらった遺言書が無効になるわけではありません。

そのため、返してもらった遺言書を、その後自宅で保管することもできます。

また、「撤回の申請」をせずに、新しい遺言書を追加で預けることも可能ですが、後に混乱を招くおそれがありますので、できれば「撤回→(修正または新規作成)→再度、保管申請」の流れで内容を変更する方法がよいでしょう。