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農地の相続における注意点
2021年09月02日
法務
農地は農業生産の基盤であり、日本の限られた資源として考えられています。
そのため、農地を勝手に他の用途に変更したり、売買などによって土地の権利関係を変更したりすることは「農地法」によって原則、許可制とされています。
今回は、農地の相続における注意点を解説します。
目次
農地の相続における注意点
相続すると農業委員会への届け出が必要
遺産分割などによって相続人が農地を相続した場合は、農業委員会への「届け出」が必要です。(農地法第3条第1項第12号、第3条の3) 農業委員会とは、農地に関する許可や届け出などを執り行う機関をいいます。 農地の利用を最適化するため、農地に関する許可や指導、必要な調査など、農地に関する事務を行います。 原則、市町村に1つ設置されています。(農地のない市町村にはありません) 農業委員会への届け出の必要書類や期限は、市町村の農業委員会のホームページ等で確認できます。 大津市HP:農業委員会 https://www.city.otsu.lg.jp/shinsei/business/other/1422419916247.html遺贈によって取得すると?
遺贈によって農地を取得した場合、農地を取得したのが相続人の場合や、包括遺贈によるものであれば、相続と同様の扱いとなります。 ただし、相続人でない第三者への遺贈(特定遺贈)であれば、農業委員会の「許可」が必要になります。(農地法第3条)転用には許可が必要
相続後、農業をやめて別の用途に転用する場合、農業委員会を経由し、「都道府県知事の許可」が必要になります。(農地法第4条) なお市街化区域の農地について、あらかじめ農業委員会に届け出ている場合は不要です。(同条第1項第8号)売却にも許可が必要
農地を売却するときにも許可が必要です。 農地の用途を変えずに売却する場合は、農地法第3条の「農業委員会の許可」が必要になります。 これに対し、農地の用途が変わる売却の場合は、「都道府県知事の許可」が必要になります。(農地法第5条) ただし市街化区域の農地について、あらかじめ農業委員会に届け出ている場合は不要です。(同条第1項第7号)農地の相続税にも注意
農地を相続や遺贈によって取得したときも、通常の財産と同様に相続税がかかります。 農地の相続税で納税者が注意すべきことは、 ・どのようにして農地を評価するか ・相続税の猶予の特例が受けられないか の2点です。農地の評価方法
農地の評価方法は ・市街地農地 ・市街地周辺農地 ・中間農地 ・純農地 の4つに分かれ、取得した農地がどれにあてはまるかを判定するところから始めなければなりません。 上記の4つは、下にいくほど農業に適した農地となります。 以下、それぞれの特徴や評価方法を大まかにお伝えします。市街地農地
都市計画法による市街化区域内の農地のことです。 評価方法は、宅地批准方式か倍率方式となり、比較的、宅地に近い評価額になります。 倍率方式では、固定資産税評価額に、評価倍率表の「畑」の倍率をかけます。市街地周辺農地
市街化区域以外(市街化調整区域や未区分の区域など)の農地のうち、第3種農地といって、市街地周辺の区域内の農地をいいます。 評価額は、「市街地農地」の0.8倍となります。中間農地
市街化区域以外(市街化調整区域や未区分の区域など)の農地のうち、第2種農地といって、純農地と市街地周辺農地の間に位置づけられる農地をいいます。 評価額は、倍率方式で計算します。純農地
市街化区域以外(市街化調整区域や未区分の区域など)の農地のうち、第1種農地や甲種農地などに該当する、生産性の高い農地をいいます。 評価額は、倍率方式で計算します。納税猶予の特例がある
農地は農業生産の基盤であり、日本の限られた資源です。 そのため、相続や遺贈によって取得した農地で農業を継続した場合は、一定の要件を満たすことにより、その相続税を猶予する特例を受けることができます。 猶予された相続税は、 ・特例を受けた相続人が死亡する ・相続税の申告書の提出期限の翌日から20年が経過する ・特例を受けた相続人が農業後継者に生前一括贈与を行う のいずれかに該当すると、免除されます。(特措法代70条の6)Recent Entries
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