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遺産分割協議が整わない場合の手続

2018年12月11日
法務

相続が開始した場合、法定相続分で相続手続を行うか、もしくは相続人同士で遺産分割協議を行い相続手続を進めていくことになります。不動産、預貯金、有価証券など、様々な遺産をお持ちの方がお亡くなりになった場合、遺産分割協議により、相続人にとってより良い分割方法を探ることができます。

 

例えば、被相続人の遺産に自宅の土地建物及び預貯金があり、相続人の一人Aは被相続人と同居、もう一人の相続人Bは既に家を出ているような場合、相続人Aは土地建物の権利を相続し自宅に住み続け、相続人Bは預貯金を相続するというように柔軟な解決策が期待できます。

 

しかし、スムーズに遺産分割協議が整えば良いのですが、相続人同士で遺産につき揉めてしまうケースも。その際にはどのような手続を踏むことで解決が図れるのかをご紹介したいと思います。

 

 

 

 

遺産分割調停とは

被相続人の遺産の分割につき相続人同士で話し合いがつかないような場合に利用できる手続としては、遺産分割調停、遺産分割審判があり、いずれも家庭裁判所での手続となります。

 

遺産分割調停は一方の相続人が他の相続人を相手方として申立てを行うもので、調停委員が仲介に入り、遺産に関する資料の提出、当事者双方の意見や事情の聴取をもとに合意を目指して話し合いを進めていきます。この手続により合意ができた際には、判決と同様の効力がある調停調書が作成されます。

遺産分割調停で必ず決着がつくとは限らない

遺産分割調停では調査委員会が中立な立場からそれぞれの言い分を聞き、解決策などを提案しながら解決に向けて進めていきますが、その提案には強制力がありませんので、必ずしも決着がつくとは限りません。

調停の場で話あっても決着がつかない場合は遺産分割審判に進む事となります。

遺産分割調停の流れ

遺産分割調停を行う場合の流れは次のようになります。

 

①申立書の提出

申し立ては被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に遺産分割調停申立書を提出して行います。

 

②調停での話し合い

申し立ての受理後、裁判所は調停期日を決定し、申立人とその相手方を裁判所に呼び出します。当日、当事者たちは1人ずつ調停室に入り、それぞれの事情を聴取した上意見の調整を行います。

1回でまとまらない場合は、2回、3回と続けられ、長ければ1年以上続く事もあります。

 

③調停成立

話し合いがまとまれば調停成立となり、調停調書が作成されます。

 

④調停が不成立の場合

話し合いが決裂した場合、自動的に遺産分割審判に移行します。

遺産分割審判を最初から申し立てる事も出来る

遺産分割について意見の調整で折合いのつく見込みがない場合は遺産分割審判から始めるという手もあります。

ただし、いきなり審判を申し立てても調停に戻されることもありますのでご注意下さい。

遺産分割審判とは

遺産分割調停の手続によっても合意ができない場合、調停は不成立となり遺産分割審判に移行することとなります。

遺産分割審判では、裁判官が当事者の主張をもとに争点の整理及び事実の調査等を行い、一切の事情を考慮して、審判をすることになります。審判が出される際には、判決と同様の効果がある審判書が作成されます。

なお、遺産分割については基本的に法定相続分とおりに行われることになります。

遺産分割審判の流れ

遺産分割審判の流れは次のようになります。

 

①申立書の提出、または調停からの移行

調停からの移行が大半です。

 

②審理

期日には当事者が出頭し、裁判官が争点を整理し、場合によっては事実を調査します。

 

③審判

審理が終結したら、審判の日が定められます。遺産分割の審判は状況を元に一切の事情を考慮して行われます。審判が出される際には審判書が作成されます。

 

④審判の確定・不服申し立て

不服申し立てを行わない場合は2週間で審判が確定します。不服がある場合は2週間以内に不服申し立てが出来ます。

まとめ

以上のように、遺産につき相続人同士で揉めているような場合には、遺産分割調停、遺産分割審判という手続により解決を図ることが可能ですが、手続が遺産分割審判にまで及ぶと、相続人が期待しているような結果とならないことも考えられます。

 

相続人同士の争いを予防し、相続手続をスムーズに進めるためにも、被相続人の生前に遺言などの対策を考えておくことが重要になってきます。