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信託について

2018年11月12日
法務

近年、遺言や成年後見制度など、多くの人が老後に備えてさまざまな対策を講じ始めています。

その対策の一つとして、遺言書を作成する人も多いのではないでしょうか。

自分の死後に、残された家族の間で揉め事が起きないように、また、自分の財産を大切に有効的に使ってもらえるように、というのが遺言を作成する目的だと思います。

その財産の遺し方を考えるツールとして、「信託」というものがあります。

 

 

 

 

跡継ぎ遺贈型の受益者連続信託

遺産を残す人を複数世代に渡り指定することができる

例えば、子どもがいない場合「自分の死後は財産を配偶者に、その配偶者の死亡後は残りの財産を国に寄付したい。」など、先の先の相続まで指定することが可能なのです。

この相続の方法は、遺言書ではできない選択肢です。

 

【注意点】

・財産を継承することができる受益者の範囲については期間制限があること

・遺留分減殺請求の対象になる可能性があること

遺言代用信託

スムーズな財産承継が可能に

通常、亡くなった方の銀行口座からは相続に関する手続きを済ませるなどしなければ、家族であってもすぐにお金を引き出すことはできません。

しかし、遺言代用信託を利用するとあらかじめ「私が亡くなったら、葬儀費用として配偶者の口座に100万円振り込む」と指定しておくことで、信託銀行の受託者は、速やかに指定された口座に指定された金額を振り込むことができるのです。

分割して相続することも可能に

残された家族の生活の安定のために、年金のように定期的に一定額を渡すことができます。

例えば残された家族が未成年の場合、一括で現金を相続させるのではなく、月々の受取額を決めておけば、信託銀行が指定された口座に指定された金額を毎月振り込んでくれるため、遺言書だけでは実現が難しかった相続が可能となるのです。

 

【注意点】

・遺留分を侵害するとような信託の設定は実質的にできないこと

その他相続対策に活用できる信託商品

生命保険信託

死亡保険金を信託銀行などが受取り、委託者(被相続人)の意思に従って、資金を指定した人に渡します。

知的障害の子などに安全に財産を残し、定期的に渡して生活費や教育費として役立てられています。

特定贈与信託

特定贈与信託とは、重度の心身障害や中経度の知的障害、精神障害者など、対象者が限定されています。

こちらも生命保険信託と同様に、知的障害の子などに安全に財産を残し、定期的に渡して生活費などに役立てられています。

暦年贈与信託

親などがお金を信託し、信託銀行が子などへ贈与の意思確認や贈与の手続きを行います。

複数の贈与先を指定することもできますし、毎年、贈与額を変更することも可能なのです。

この方法では、定額贈与とみなされる心配がなく、自分で手間をかけず、生前贈与ができます。

また、取引記録が残るので「受け取った」「受け取っていない」など揉め事のリスクも軽減できます。

最後に

信託とは、自身の願いをはっきりと明示し、自身のニーズに合った財産の残し方を考える一つの選択肢だと思います。

自分の財産を安心して残し、自身の願いが後世に引き継がれるよう、制度や運用実務をきちんと理解した上で、信託、生前贈与、生前売買など上手に選択することが大切なのです。