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死亡退職金は課税対象になるのか

2018年09月03日
税務

遺族が死亡退職金を受け取った場合、心配なのが「死亡退職金は相続税の課税対象になるのか」という点ですよね。しかも、その額が高額であればあるほど尚更です。

 

 

 

 

死亡退職金は相続税の課税対象

亡くなった人に代わり遺族に支払われる退職金のことを死亡退職金といいます。したがって、被相続人の遺産ではありません。

しかし、課税の公平の見地から、被相続人の死亡に伴って支払われる死亡退職金は相続財産(みなし財産)と考えられるため、相続税の課税対象となります。

 

会社によって死亡退職金は、「死亡手当金」や「功労金」などの名目で支払われる場合がありますが、名目は異なっていても、実質として被相続人の死亡退職金として支給される金品の事をさします。

また、金銭だけでなく、現物支給された物も含まれるので注意しましょう。

死亡退職金には非課税枠がある

死亡退職金はみなし相続財産として相続税の課税対象となりますが、死亡退職金には「遺族の生活を保障する」という目的があることが重視されています。

そのため、全額が課税対象になるわけではありません。

非課税限度額は法定相続人の数によって決まる

死亡退職金の非課税限度額は、次の計算式で求められます。

「死亡退職金の非課税限度額=500万円×法定相続人の数(※)」

(※)法定相続人の数には、相続放棄した法定相続人も含めます。また、法定相続人の中に養子がいる場合は、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までを法定相続人の数に含めます。

 

例えば、3人の法定相続人が合わせて1,500万円の死亡退職金を受け取った場合は課税されませんが、合計額が2,000万円であれば500万円分が相続税の課税対象となるのです。

死亡退職金の課税対象額の算出

次に、各相続人の課税対象額がいくらになるのかを詳しく見ていきましょう。

 

それぞれの相続人の課税対象額は、次の計算式で求められます。

「相続人が受け取った死亡退職金-(非課税限度額)×{(各相続人が受け取る死亡退職金)÷(すべての相続人が受け取る死亡退職金の合計額)}=各相続人の課税される死亡退職金の金額」

 

なお、相続を放棄した人や相続人以外の人が受け取った場合は非課税枠がなく、全額が相続税の課税対象になるので注意しましょう。

死亡と退職金の課税対象となる範囲

相続税の課税対象となる死亡退職金は、被相続人の死後3年以内に支給が確定したものと定められています。

また、被相続人の死後3年を経過してから死亡退職金の支給が確定した場合は、受け取った遺族の一時所得として、所得税の課税対象となるので注意しましょう。

死亡退職金を辞退した場合

滅多にないことだとは思いますが、死亡退職金の受け取りを辞退する場合、その判断は慎重に行わなければなりません。

「受け取っていないのだから、相続税の対象ではない」と考えられがちですが、死亡退職金は、受け取らなくても相続税の課税対象となるのです。

 

死亡退職金は会社の決定によって支給されたものであって、たとえ遺族が自らの意志で受け取りを辞退して会社に返金したとしても、相続税は課税されます。

ただし、死亡退職金を支給するとした会社の決定が無効になったことで遺族が死亡退職金を返金した場合は、そもそも支払われるものではなくなるため、相続税は課税されません。

弔慰金は基本的には相続税の課税対象外

弔慰金とは、亡くなった人を弔い、遺族に慰めの気持ちを表すために贈られる金銭のことで、個人や法人、政府などから遺族に対して支給されます。(葬儀の際に受け取る香典とは別のものです。)

つまり、遺族への見舞いとして支払われるため、原則として非課税です。

 

しかし、見舞として適切な金額を超える場合は死亡退職金と同等とみなされるので、非課税となる部分には限度額があります。

 

その弔慰金の非課税限度額は、被相続人が亡くなった原因が業務上のものであるかどうかによって異なります。

 

・業務上の死亡→死亡当時の普通給与(賞与を除く)の3年分に相当する額

・業務上以外の死亡→被相続人の普通給与(賞与を除く)の半年分に相当する額