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おひとりさまの遺産相続人は誰になる?
独身世帯が増加中?
「おひとりさま」とは、「独身者」を意味する造語です。
故・岩下久美子さんが提唱された言葉であり、2005年にはユーキャンの流行語大賞にノミネートされ、後にテレビドラマのタイトルにも用いられています。
この言葉が、近年、国の統計データで用いられているのを見かけました。
平成27年の国勢調査の結果なのですが、世帯数に関する調査結果の一つに、「おひとりさまが増加中?」という見出しが付けられています。
この調査結果によると、一般世帯(※)5,333万件のうち、34.6%が1人世帯(単独世帯)だったそうです。
より詳しい調査結果は、総務省統計局のWEBサイトから見ることができます。
(※)国勢調査の対象となった世帯を、一般世帯と施設等の世帯の2種類に区分したときに、前者にあたるもの。
独身者が死亡したときの遺産相続人は誰に?
夫や妻がいないからといって、独身者に相続は関係ないということにはなりません。
独身者であっても、天涯孤独であるケースは少なく、法律上の相続人がいる場合はその方々が、独身者の遺産や負債を相続することとなります。
では、一体誰が独身者の遺産相続人になるのでしょうか。
独身者の遺産相続人とは
独身者の遺産相続人を判定するには、まず配偶者以外の相続人の基本ルールを把握しておく必要があります。
さらに独身者の場合、代襲相続と特別縁故者のルールも重要になります。
相続人の基本ルール
遺産の相続人となる権利があるのは、民法に定められている相続人です。
相続開始のとき(死亡したとき)に、故人に夫や妻がいれば、その人物は常に相続人となりますが、それ以外の親族も下記の順で相続人になります。
独身者の場合、配偶者は関係ありませんので、「配偶者以外の相続人」が重要になります。
【配偶者以外の相続人】
・第1順位 子
・第2順位 直系尊属(親や祖父母など)
・第3順位 兄弟姉妹
各順序の続柄は、故人からみた続柄になります。
順位の数字が若いほど優先して相続権が認められ、後の順位は、先の順位の相続人がいない場合に初めて相続人になります。
まず「子」については、元配偶者との間に子がいる方や、未婚のひとり親の方などが該当します。
離婚して独身者になったケースや、親権を失っているケースであったとしても、子との親子関係は戸籍が判定基準となり、多くの場合、親子関係は存続していることに注意が必要です。
亡くなった独身者の親族の方は、故人の過去の戸籍を収集し、子の有無を確認しなければなりません。
「直系尊属」とは、基本的には両親です。
父のみ、母のみのように、どちらか1人がいれば、その1人が相続人となります。
もし両親とも相続権がない場合、例えばすでに亡くなっている、相続放棄をしたなどの場合、親より上の直系の親族(祖父母、曾祖父母…etc)がいれば、その人が相続人になります。
第1順位の「子」や第3順位の「兄弟姉妹」にも、これと似た「代襲相続」があります。
代襲相続とは
代襲相続とは、「子」や「兄弟姉妹」が本来は相続人であるところ、この人物に、以下の事情で相続権がない場合、この人物の子が代わりに相続人になるというルールです。(代襲相続人といいます)
つまり、故人の孫や、甥っ子・姪っ子が相続人になるケースもあるという話です。
【代襲相続が発生する事由】
・死亡(相続開始以前に死亡している)
・相続欠格
・廃除
代襲相続人かどうかを判定するときの注意点としては、第2順位の「直系尊属」とは異なり、「相続放棄」によって相続権を失った人の代わりに代襲相続は発生しないということです。
たとえば、子が相続放棄をすれば、孫がいても第2順位以下の判定に移ります。
また、第1順位の「子」の代襲相続人の判定に限って、代襲相続人になる子(故人の孫)もいなければ、さらにその子(故人のひ孫、玄孫…:直系卑属といいます)が代襲相続人になります。相続のときに胎児として存在していれば相続権が認められます。
これに対し、第3順位の代襲相続は一代限りです。
つまり、甥っ子・姪っ子までが代襲相続人になれる可能性のある人物となります。
特別縁故者とは
第3順位まで検討しても、相続人がいないという場合も考えられます。
この場合、次に考えるのは「特別縁故者」になります。
特別縁故者とは、次のような方です。
・故人の療養看護に努めた者
・その他、故人と特別の縁故があった者
たとえば、内縁の夫や妻のように、事実上、相続人と変わらないような関係性を持っていた方が該当します。
そうは言っても、特別縁故者の場合、特別縁故者から家庭裁判所に対して申し立てを行い、その関係性が家庭裁判所で認められたときに限り、初めて遺産が分与されるしくみとなります。
そして、特別縁故者に財産を分与する前段階として、相続人のいない故人の財産は、まずは家庭裁判所が選んだ相続財産管理人の管理下に置かれ、そこから債権者などへの弁済に充てられるというステップがあります。(例:故人にお金を貸している人など)
それでも財産が残り、裁判所が、本当に相続人がいないかどうかを確認した上で、特別縁故者という選択肢が出てきます。
家庭裁判所の判断によっては、残った財産の一部しか分与が認められないこともあります。
国庫への帰属
財産が残った場合は、最終的には国のものとなります。
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