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葬儀費用は相続税から差し引ける?|債務控除になるもの・ならないものの一覧

2026年10月10日
税務
葬儀費用は相続税から差し引ける?|債務控除になるもの・ならないものの一覧

葬儀のお金と亡くなった方の借金は、相続税の計算で差し引けます

相続税は、亡くなった方(被相続人)の財産の合計から、借入金などの債務と葬儀費用を差し引いた金額をもとに計算します。この差し引きを債務控除といいます。差し引ける金額が増えれば、その分だけ相続税の対象になる金額が減ります。

令和6年に全国で亡くなった方は1,605,378人で、そのうち相続税の申告が必要になったのは166,730人、割合は10.4%でした(出典:令和6年分 相続税の申告事績の概要(国税庁))。滋賀県では15,523人のうち1,435人で、割合は9.2%です(出典:令和6年分 相続税の申告事績の概要(大阪国税局))。相続税がかかるかどうかの境目にいる方にとっては、葬儀費用と債務をきちんと差し引けるかどうかで、申告が必要か不要かが変わることもあります。

差し引ける葬儀費用・差し引けない葬儀費用

国税庁は、相続税で差し引ける葬儀費用とそうでないものを、次のように示しています(出典:No.4129 相続財産から控除できる葬式費用(国税庁))。

費用 差し引けるか
葬儀・告別式の費用、火葬・埋葬・納骨の費用 差し引ける
お通夜など、葬儀の前後にかかる通常必要な費用 差し引ける
お寺へのお布施・読経料・戒名料などのお礼 差し引ける
遺体や遺骨の運搬の費用 差し引ける
香典返しの費用 差し引けない
墓石や墓地を買う費用、墓地を借りる費用 差し引けない
初七日や四十九日などの法事の費用 差し引けない
領収書がないお布施の記録の残し方

お布施や心付けは、領収書が出ないことが多い費用です。その場合は、支払った日、支払った相手(お寺の名前など)、金額、何のための支払いかをメモに残しておきます。銀行から引き出した記録とあわせておくと、申告のときに説明しやすくなります。当事務所でも、お寺の費用などは領収書がないことが多いため、ご相談の際にはメモをきちんと残していただくようお伝えしています。金額がわからなくなった場合は、葬儀社やお寺に確認していただくようご案内しています。

香典は相続税の対象にならない

葬儀でいただいた香典は、亡くなった方の財産ではないため、相続税はかかりません。その代わり、香典返しの費用も葬儀費用として差し引けません。

差し引ける借金・未払金と、差し引けないもの

差し引ける借金・未払金

亡くなった時点で実際にあり、支払うことが確実な債務は差し引けます(出典:No.4126 相続財産から控除できる債務(国税庁))。

  • 銀行などからの借入金、カードの未払い分
  • 亡くなる前の入院費・医療費で、亡くなったあとに払ったもの
  • 未納の固定資産税・住民税など
  • 亡くなった年の所得税(準確定申告で納める分)

見落としやすいのは税金です。固定資産税は1月1日時点の所有者に1年分がかかるので、亡くなった年の分でまだ納めていない分は、亡くなったあとに納めても差し引けます。翌年以降の分は相続人にかかる税金なので、差し引けません。亡くなった年の所得税も、準確定申告で納めた金額を債務として差し引きます。準確定申告については亡くなった親の確定申告(準確定申告)を、固定資産税の引き継ぎについては亡くなった親の固定資産税は誰が払う?をご覧ください。

差し引けないもの

次のものは、支払っていても相続税の計算では差し引けません。

  • 生前に買った墓地や墓石の未払代金:墓地や仏壇は相続税がかからない財産なので、その未払代金も差し引けません。墓地を生前に買う場合は、代金を払い終えておくと財産が減り、結果として相続税が少なくなります。相続税のかからない財産は意外と知らない相続税のかからない財産で解説しています
  • 相続人の手続きの遅れでかかった延滞税や加算税
  • 保証債務:亡くなった方がほかの人の借入の保証人になっていた場合、原則として差し引けません。借りた本人が返せない状態のため代わりに払わなければならず、しかも本人から返してもらえる見込みがない場合に限って差し引けます

誰が差し引けるか・遺産分割との関係

債務控除を受けられるのは、相続人と、遺言で財産の全部または一定の割合をもらう人(包括受遺者)です。相続人ではない人が遺言で特定の財産だけをもらった場合は、葬儀費用を払っても差し引けません。

また、差し引けるのは、実際にその債務や葬儀費用を負担した人の取得額からです。喪主が葬儀代を立て替え、ほかの相続人がそれを知らないまま遺産を分けると、あとで「誰が負担したか」で話がこじれることがあります。遺産の分け方を話し合うときに、葬儀代を誰がいくら負担するかも一緒に決めておきます。

相続では、財産を受け取るだけでなく、遺産を分ける前に相続人の誰かが費用を立て替えて払うケースがよくあります。相続人の代表者がほかの相続人に説明する前に、立て替えた金額と、そのお金をどこから出したかを説明できるよう準備しておくことが大切です。

なお、相続を放棄した人は債務控除を受けられませんが、実際に葬儀費用を負担し、生命保険金などを遺贈として受け取っている場合は、その受け取った額から葬儀費用を差し引くことができます(出典:相続税法基本通達13-1(国税庁))。

葬儀代を払うために亡くなった方の預金を使いたい場合は、遺産の分け方が決まる前でも、一定額まで預金を引き出せる仮払いの制度があります。手続きは死亡で凍結された銀行口座の解除手続きで解説しています。

申告で差し引くための準備

申告のときに必要になる書類を、葬儀が終わった時点から集めておきます。

種類 集めておくもの
葬儀費用 葬儀会社の請求書・領収書、お布施などの支払いメモ、火葬場の領収書
借入金 金融機関の残高証明書(亡くなった日現在)
医療費・施設費 亡くなったあとに払った分の領収書
税金 固定資産税・住民税の納付書と領収書、準確定申告書の控え

葬儀費用の書類は、葬儀の直後は手元にあっても、申告の準備を始めるころにはどこにあるかわからなくなっていることがよくあります。1つの封筒やファイルにまとめておくだけでも、申告の手間は大きく変わります。

当事務所では、相続登記を担当する司法書士と連携してご相談に対応することが多く、相続税の申告と登記で使う添付書類を順番に共有して使えます。お客様が同じ書類を何度も集める手間が減るのも、まとめてご依頼いただく利点です。

まとめ

葬儀・火葬・お通夜・お布施などの費用と、亡くなった方の借入金・未払いの医療費・未納の税金は、債務控除として相続税の計算で遺産から差し引けます。香典返し、墓地や墓石の費用、法事の費用は差し引けません。生前に買った墓地の未払代金や、原則として保証債務も対象外です。

差し引けるのは相続人と包括受遺者で、実際に負担した人の取得額から差し引きます。お布施のように領収書が出ない費用はメモを残し、書類は1か所にまとめておくと申告がスムーズです。相続税がかかるかどうかの全体の目安は、相続税がかかるかどうか不安な方へをご覧ください。

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