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滋賀県で農地を相続するときの手続き|農地法届出と納税猶予を解説

2026年03月24日
法務税務
滋賀県で農地を相続するときの手続き|農地法届出と納税猶予を解説

導入:滋賀県で農地を相続するケースが増えている

滋賀県は近畿圏有数の農業県です。農地面積が広く、世代交代に伴って農地の相続が増えています。農地を相続することは、一般的な不動産の相続と大きく異なります。

農地相続では、農地法の届出、相続登記、さらに相続税の納税猶予制度など、複数の手続きが必要です。期限を守らないと、後々トラブルが発生する可能性があります。この記事では、農地を相続したときに知っておきべき手続きを、滋賀県の視点から分かりやすく説明します。

農地を相続したらまずやること(全体の流れ)

農地を相続したとき、真っ先にやるべきことは次の3つです。

1. 農業委員会に届出する(相続を知った日から10か月以内)

農地法3条に基づく「農地取得届出書」(相続による農地取得の届出)を、農地がある市町村の農業委員会に提出します。この届出は義務です。期限を過ぎると、行政指導の対象になる可能性もあります。

2. 相続登記を行う(2024年4月から義務化。3年以内に完了)

農地を含む不動産の相続登記は、2024年4月から義務化されました。相続が発生してから3年以内に登記する必要があります。登記に応じない場合は、過料の対象になります。

3. 相続税申告と納税猶予の手続き(申告期限:相続を知った日から10か月以内)

農業を継続する場合、相続税の納税猶予制度を申請できる可能性があります。申告期限は相続を知った日から10か月です。申告後、「継続届出書」を定期的に提出し続ける必要があります。

これら3つは並行して進めることが多いため、早めに税理士や行政書士に相談することをお勧めします。

農業委員会への届出(農地法3条届出)

届出の期限と提出先

農地法3条に基づく農地取得届出書は、相続を知った日から10か月以内に、農地がある市町村の農業委員会に提出する義務があります。滋賀県内であれば、守山市、草津市、野洲市など各市町村の農業委員会が窓口です。

期限内に届出しないと、農業委員会から勧告を受け、さらに正当な理由がない場合は勧告に従わない旨を公示されます。その後も従わなければ、農地の買い取り請求や行政指導につながることもあります。

届出に必要な書類

農業委員会への届出には、以下の書類が必要です。

  • 農地取得届出書(農業委員会で様式が決まっている)
  • 戸籍謄本または遺産分割協議書
  • 登記事項証明書(相続前の農地の所有者名が記載されたもの)
  • 農地の位置を示す地図(公図など)
  • 相続人の農業経営計画書(農業を継続する場合)

市町村によって求められる書類が異なる場合もあるため、事前に農業委員会に問い合わせることをお勧めします。

滋賀県内で農地の相続相談を受ける際、「農業委員会への届出が必要なことを知らなかった」というケースが目立ちます。特に高齢の農業者から農地を引き継ぐ場合、期限を見落としやすいので注意が必要です。

農地の相続登記(2024年から義務化)

農地を含む不動産の相続登記は、2024年4月から義務化されました。相続が発生してから3年以内に、法務局で登記手続きを完了する必要があります。

登記しないと、売却や担保設定ができなくなります。また、相続人が複数いる場合は、誰が農地を相続するのかを決めておく必要があります。遺産分割協議書が必要になることがほとんどです。

登記の手続きは複雑なため、司法書士に依頼することをお勧めします。詳しくは「相続登記の義務化で何が変わった?」をご覧ください。

相続税の納税猶予制度とは

農地を相続した場合、一定の要件を満たせば、相続税の納税猶予制度を使えます。この制度は、農業を継続する相続人に対して、農業投資価格を超える部分の相続税納税を猶予するものです。

納税猶予を受けるための要件

納税猶予制度を使うには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

1. 被相続人(亡くなった人)の要件

  • 農地所有者で、相続開始直前3年以上、その農地で農業経営を行っていた

2. 相続人(農地を受け継ぐ人)の要件

  • 相続開始時に農業に従事している(または従事予定)
  • 農地を相続後、継続して農業経営を行う見込みがある
  • 相続開始後、農地の農業生産法人化などの特定の事由がない

3. 農地の要件

  • 農地の評価額の計算が農業投資価格で行われるもの
  • 貸付農地(農業法人に貸している農地など)は対象外の場合が多い
継続届出と免除の条件

納税猶予を申請した後も、相続税の申告期限の翌日から3年ごとに「継続届出書」を税務署に提出し続ける必要があります。この継続届出を忘れると、納税猶予が打ち切られます。

納税猶予が免除される条件は、相続人が農地で農業を行い続けて、特定の要件をクリアした場合です。具体的には、相続税の申告期限から20年間、農業を継続した場合、猶予されていた相続税の納税が免除されます(相続税法第70条の6に基づく)。

実際に納税猶予を申請したケースでは、3年ごとの継続届出を忘れてしまい、猶予が打ち切られるというトラブルが発生しています。申告期限から3年目、6年目という定期的なタイミングを記録に残し、事前にリマインダーを設定することをお勧めします。

納税猶予が打ち切られるケース

以下のような場合、納税猶予が打ち切られ、猶予されていた相続税を納める必要が生じます。

  • 継続届出書を提出しなかった
  • 農地を売却または転用した
  • 農業を廃止した(20年以内の場合)
  • 農地を第三者に貸し付けた(農地保有合理化事業等による貸付は除く)
  • 農地が災害や収用などにより失われた場合(詳細な条件は税務署にご確認ください)

農地を相続したが農業をしない場合の選択肢

農地を相続しても、「農業をする予定がない」というケースは少なくありません。その場合、いくつかの選択肢があります。

1. 農地を売却する

農地を他の農業者や農業法人に売却することが可能です。ただし、農地法5条の許可が必要です。売却後は農業委員会への届出が発生します。

2. 農地を貸し付ける

農地を他の農業者に貸し付ける方法があります。この場合、農地法3条の許可が必要です。貸し付けている間は固定資産税や維持管理が発生します。

3. 農地から転用する

農地を駐車場や住宅用地に転用することも可能ですが、農地法4条の許可が必要です。転用には厳しい要件がありますので、事前に農業委員会に相談することが重要です。

農地の相続相談では、「農業をしないので農地を処分したい」というご相談をよく受けます。売却や転用には手続きや時間がかかるため、相続が発生してから慌てるのではなく、被相続人が元気なうちから農地の処分方法を話し合っておくことが重要です。滋賀県内では農地転用の許可要件も市町村によって異なるため、早めに専門家に相談することをお勧めします。

同様のお悩みで「空き家を相続したらどうする?」とお考えの方は、「滋賀県で空き家を相続したらどうする?」もご参考ください。

相続税申告時の特例控除:小規模宅地等の特例

農地だけでなく、相続財産全体で相続税対策を考える場合、「小規模宅地等の特例」も視野に入れましょう。ただし農地は対象外ですが、相続財産に宅地が含まれている場合には使える制度です。詳しくは「小規模宅地等の特例とは?」をご覧ください。

相続税申告期限を逃さないために

相続税申告の期限は、相続を知った日から10か月です。この期限を逃すと、加算税や延滞税が発生します。万が一期限を逃した場合でも、すぐに申告・納税することで追加的な加算税を避けられる場合もあります。詳しくは「相続税の申告期限を過ぎたらどうなる?」をご碼認ください。

まとめ

滋賀県で農地を相続したときに必要な手続きは以下の3つです。

  1. 農業委員会への届出(相続を知った日から10か月以内)

農地法3条届出書を市町村の農業委員会に提出する必要があります。期限を逃すと行政指導の対象になる可能性があります。

  1. 相続登記(2024年から義務化。3年以内に完了)

不動産登記法の改正に伴い、相続登記は義務化されました。3年以内に法務局で登記を済ませてください。

  1. 相続税申告と納税猶予制度の活用(10か月以内に申告)

農業を継続する場合は、納税猶予制度の申請を検討してください。申請後も3年ごとの継続届出が必須です。

農地相続は一般的な不動産相続よりも複雑です。農業をするかしないかで選択肢が大きく変わるため、早めに税理士や行政書士に相談することをお勧めします。

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