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相続税の税務調査はどんな人が対象になる?調査の流れと事前にできる対策を解説

2026年03月19日
税務
相続税の税務調査はどんな人が対象になる?

滋賀県での相続税申告で最も不安なこと

親が亡くなり、相続税申告の時期が近づくと「税務調査が来るのではないか」と心配になる方が多いです。特に相続財産が多い方や、相続税申告が初めての方にとって、税務調査という存在は大きなプレッシャーになります。

滋賀県内でも、高齢化に伴う相続件数の増加に伴い、税務調査の件数も増えています。しかし、すべての相続税申告が調査の対象になるわけではありません。「自分たちは調査の対象になるのか」「調査が来たら何を準備すればいいのか」——こうした疑問を持つ方は多いでしょう。

この記事では、相続税の税務調査がどのような場合に実施されるのか、調査の流れはどんなものか、そして事前にできる対策について、わかりやすく解説します。

相続税の税務調査の対象になりやすい人の特徴

すべての相続税申告が税務調査の対象になるわけではありません。しかし、特定の特徴がある場合は、調査の対象になる可能性が高くなります。

相続財産が基礎控除を大きく超えている

相続税の基礎控除は「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」です。たとえば相続人が3人の場合、基礎控除は4,800万円になります。この金額を大きく超える財産がある場合は、申告書の内容が詳細に検討される傾向にあります。

相続財産の金額は、税務調査の対象になるかどうかを左右する大きな要素です。特に預貯金が多い場合、税務署は生前のお金の流れを重点的に確認します。「亡くなる直前に大きな出金があった」「定期的に一定額が引き出されていた」といった動きがあると、贈与や名義預金の有無を調べる目的で調査の対象になりやすくなります。

申告内容に曖昧さや矛盾がある
  • 不動産の評価額に根拠が不明確
  • 現金・預金の出所が不透明
  • 遺産分割がまだ決まっていないまま申告
  • 添付書類(遺産分割協議書、戸籍謄本など)が不完全

こうした場合、税務署から調査を受けるリスクが高まります。

不動産の評価方法が不適切

自宅や賃貸物件の相続税評価額は、路線価方式や比準賃貸料方式など複雑な計算方法があります。不動産ポータルサイトの相場価格ではなく、相続税特有の評価ルールを適用する必要があります。不適切な評価で低く申告した場合、調査の対象になりやすくなります。

生命保険の非課税枠を超えている

相続時に生命保険金が支払われた場合、「500万円 × 法定相続人の数」の範囲まで相続税が非課税になります。この非課税枠を計算し忘れたり、適用要件を満たしていないのに計上したりした場合も、調査対象になる可能性があります。

相続放棄や限定承認の手続きとの矛盾

相続税申告をしながら、同時に相続放棄や限定承認を手続きしている場合も、税務署が注視する傾向にあります。

相続税の税務調査率は実は低い

>ここで一度立ち止まって、実際のデータを確認しましょう。

相続税の申告件数に対する税務調査の実施件数は、実は そこまで高くありません。国税庁の統計によれば、令和4年度の相続税調査は申告件数の約6.5%程度にとどまっています。つまり、相続税申告をした方の93%以上は税務調査を受けていないということです。

ただし、この数字は「全体の平均」です。申告内容によって、調査率は大きく変わります。

税務調査の流れ:事前通知から実地調査まで

相続税の税務調査が決定されると、以下のような流れで進みます。

ステップ1:事前通知(調査開始の1〜2週間前)

税務署から電話または文書で「税務調査を実施させていただきたい」という通知が来ます。この段階で「いつ、どこで、誰が、何について調査するのか」が説明されます。この時点で、申告書の内容で不明な点があれば、事前に税理士に相談する機会が生まれます。

ステップ2:準備期間

通知から実地調査の日までに、税務署は必要な資料を提出するよう求めることもあります。銀行から取引記録の照会を受けることもあります。この間に、資料を整理し、申告の根拠を再確認することが大切です。

ステップ3:実地調査(通常1〜3日程度)

税務署の調査官が、自宅または税理士事務所に訪問します。その際に確認されることは:

  • 相続財産の総額が正しく計上されているか
  • 不動産評価が適切か
  • 預金・現金の出所は明確か
  • 申告書に記載されていない財産がないか
  • 相続人間での財産分配は正当か

実務上、被相続人の財産が不明なケースも多く、その場合は預金口座のお金の流れから他の財産の存在を把握していくことになります。調査の際に「この預金の引き出しは何に使ったのか」「別の口座や金融商品はないのか」といった確認が遅れていると、調査官からもその点を突かれることになります。事前に口座の動きを整理しておくことが、調査対応の基本です。

ステップ4:質問状の送付

調査後、税務署から「質問状」が送付されます。これは調査で不明だった点の説明を求めるもので、回答期限(通常2週間)が設定されています。

ステップ5:修正申告または更正処分

質問状への回答内容に基づき、申告に誤りがあった場合は「修正申告」を求められることもあります。納税者が応じない場合は、税務署が「更正処分」を行い、追加納税額(+加算税・延滞税)が発生します。

相続税の税務調査で実際に指摘される項目

実務経験から見ると、相続税調査で最も指摘されやすい項目は次の通りです。

不動産評価の誤りが最多

路線価を誤って適用したり、土地の形状補正を忘れたり、賃借人がいる不動産の評価を間違えたり——こうした誤りは相当な割合で発生しています。特に相続人が自分たちで評価を計算した場合は注意が必要です。

預金・現金の出所が曖昧

「この現金はどこから来たのか」と聞かれたとき、明確に答えられない場合があります。贈与として受け取ったはずなのに記録がない、または相続財産として計上されていないなど、矛盾が生じやすい箇所です。

保険金や退職金の非課税要件

相続時に支払われた生命保険金や退職金は非課税になる場合がありますが、その要件は厳密です。要件を満たしていないのに非課税で処理された場合は指摘されます。

税務調査を受ける前にできる対策

税務調査を恐れるのではなく、「適切な申告をしておく」という視点が大事です。以下の対策を事前に講じておけば、調査リスクは大きく軽減されます。

申告時に根拠資料をしっかり揃える

相続税申告の際に、以下の資料を完備しておくことが何より重要です:

  • 遺産分割協議書(相続人全員の署名・押印)
  • 故人の通帳(過去3〜5年分)
  • 不動産登記簿謄本・固定資産税評価証明書
  • 生命保険や退職金の支払通知書
  • 株式や投資信託の証書・残高証明書

これらがあれば、調査官に対して「私たちの申告は根拠に基づいている」と説明できます。

不動産評価は専門家に依頼する

不動産の相続税評価は、ポータルサイトの相場ではなく、国税庁の路線価表やルール に基づいて計算する必要があります。特に土地の形状が複雑な場合や、賃貸物件がある場合は、税理士や不動産鑑定士に依頼することをお勧めします。

申告書に記載漏れがないか二重三重にチェック

相続財産の計上漏れは、調査を呼ぶ最大の原因の一つです。被相続人(亡くなられた方)名義の銀行口座、不動産、有価証券などを漏らさず洗い出し、申告書に記載することが大切です。

相続人同士で事前に話し合いを済ませておく

相続放棄や限定承認をする相続人がいる場合は、申告時にその情報を申告書に記載する必要があります。また、遺産分割が申告期限までに決まらない場合は、その旨を申告書に記載した上で、後に修正申告をします。こうした手続きの透明性が、調査リスクを低減します。

相続税申告に強い税理士に依頼する

相続税申告は相続税法だけでなく、不動産評価、生命保険、相続放棄など複数の分野の知識が必要です。「会計は得意だが相続税は専門ではない」という税理士に依頼すると、申告漏れや評価誤りが起こりやすくなります。相続税申告に実績のある税理士に依頼することが、結果的に調査リスクを最も効果的に軽減させます。

調査官から求められやすい質問への準備

実際の調査時に、調査官から以下のような質問を受けることが多いです。事前に答える内容を整理しておくと、調査がスムーズに進みます。

「この預金は何年前からここにありますか?」→ 銀行の通帳を確認して、お金の流れを説明できるようにしておく。

「この不動産はいつ購入しましたか?購入資金はどこから来ましたか?」→ 契約書、領収書、当時の銀行通帳などで、資金の出所を明確にしておく。

「相続人以外の方がこの財産に関与していることはありませんか?」→ 相続人の範囲が正確か、また相続放棄をした人がいないか確認しておく。

まとめ

相続税の税務調査は、確かに不安を感じるものです。しかし、適切な申告と根拠資料の整備があれば、そこまで恐れる必要はありません。

最も大切なのは、申告時に「正確さ」と「透明性」を心がけることです。不明な点や計算が複雑な場合は、税理士に相談し、根拠のある申告をしておく。これが結果的に、調査リスクを最も効果的に軽減させます。

滋賀県内で相続が発生した場合、「税務調査の心配をしながら申告する」のではなく、「正しい申告をして、調査が来てもスムーズに対応できる準備をしておく」という考え方をお勧めします。

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