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相続放棄の手続きと3ヶ月の期限|滋賀でマイナス財産を相続しないための対応策

2026年03月15日
法務
相続放棄の手続きと3ヶ月の期限|滋賀でマイナス財産を相続しないための対応策

「相続したくない」と思ったら、まず確認すること

親や身内が亡くなった後、財産より借金の方が多い、処分できない不動産がある、連帯保証人になっていたなど、相続したくない事情はさまざまです。そうした場合に活用できる制度が「相続放棄」です。

相続放棄とは、故人(被相続人)の財産も負債も一切受け継がないことを、家庭裁判所に申し述べる手続きです。一度認められると、はじめから相続人でなかったものとして扱われます。なお、「相続放棄」と「遺産分割で財産を取得しないこと」は法的に全く異なる手続きです。この違いについては「相続放棄と財産を取得しないことの違い」で詳しく解説しています。

ただし、この手続きには期限があります。期限を過ぎると原則として相続放棄できなくなるため、早めに動くことが大切です。弊社でも、被相続人の死亡から数週間後に多額の借金があると判明し、慌てて放棄手続きの相談に来られた滋賀県内のケースを複数経験しています。

相続放棄の期限は「3ヶ月」。起算点に注意

相続放棄ができる期間は、「自分が相続人になったことを知った日(起算日)から3ヶ月以内」です(民法第915条第1項)。

起算日は「故人が亡くなった日」ではありません。「自分が相続人になったことを知った日」が基準です。

起算日が遅れることがある3つのパターン

① 疎遠だった親族が亡くなり、後から連絡を受けた場合

相続人に知らせが届いた日が起算日になります。死亡から時間が経っていても、知らせを受けた翌日から3ヶ月のカウントが始まります。

② 先順位の相続人が全員相続放棄した場合

たとえば、故人の子が全員放棄すると、親や兄弟が次の相続人になります(民法第887条・889条)。その場合、後順位の相続人が自分の相続権を知った日から3ヶ月の計算が始まります。

③ 相続財産があることを知らなかった場合

財産・負債の存在を知らなかった場合、その存在を知った日が起算日になります。死亡後かなり経過してからでも放棄が認められるケースがあります。判断が難しい場合は、専門家に相談することをおすすめします。

3ヶ月では足りない場合は「期間伸長の申立」を

財産・負債の調査に時間がかかる、相続人の数が多くて話し合いがまとまらないなど、3ヶ月以内に判断できない事情があるときは、家庭裁判所に「熟慮期間の伸長」を申立てることができます(民法第915条第2項)。

伸長の申立は、3ヶ月の期限が切れる前に行う必要があります。申立てが認められると、通常1〜3ヶ月程度期間が延長されます。

申立先は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。滋賀県の場合は、原則として大津家庭裁判所が管轄します。

滋賀(大津家庭裁判所)での相続放棄申述の流れ

相続放棄は家庭裁判所への「申述」によって行います。自分で手続きすることも可能ですが、書類の不備があると対応に時間がかかるため、専門家に依頼する方が多いです。

ステップ① 申述書を準備する

裁判所の書式(「相続放棄申述書」)を使います。裁判所の窓口または裁判所のウェブサイトから入手できます。

ステップ② 必要書類をそろえる

以下が基本的な必要書類です。相続の状況(親の相続か、兄弟の相続かなど)によって追加書類が変わることがあります。

書類入手先
相続放棄申述書裁判所書式(無料)
被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)市区町村役場
被相続人の死亡が記載された戸籍謄本市区町村役場
申述人(放棄する人)の戸籍謄本市区町村役場
収入印紙 800円(申述人1人あたり)裁判所・郵便局など
郵便切手(大津家裁が指定する金額)郵便局など

なお、相続人が故人の子供か、兄弟か、祖父母かによって追加で提出が必要な書類が異なります。事前に大津家庭裁判所に確認するか、専門家に依頼するとスムーズです。

ステップ③ 大津家庭裁判所に提出する

書類を郵送または窓口に持参します。提出後、裁判所から「照会書」が送られてきます。内容を確認して返送すると、申述が受理されます。最初はご自身で手続きを進めようとしたものの、書類集めや記入が想像以上に大変だったため途中から弊社にご依頼いただき、スムーズに完了できたと喜んでいただけたケースもあります。

相続放棄後に注意すること

相続放棄が認められると「最初から相続人でなかった」扱いになりますが、いくつか注意が必要な点があります。

生命保険の死亡保険金は受け取れる

故人を被保険者とする生命保険で、受取人に指定されている場合、保険金は「相続財産」ではなく「受取人固有の権利」として扱われます。そのため、相続放棄をしても原則として受け取ることができます。ただし、受取人が「相続人」と指定されている場合、放棄した人は受取人の対象から外れる可能性があり、保険金を受け取れなくなるリスクがあるため注意が必要です。

固定資産税の通知が届く場合がある

相続放棄をした後も、市区町村から固定資産税の納税通知書が届くことがあります。これは行政のデータ更新が遅れるためで、放棄が認められていれば支払い義務はありません。ただし、2023年4月の民法改正により、相続放棄の時点で現に占有している財産については保存義務が残る場合があります(民法第940条・2023年4月改正)。現に住んでいない・管理していない不動産は対象外になるケースが多いですが、判断が難しい場合は専門家に確認することをおすすめします。

全員が放棄した場合は「相続財産清算人」の選任が必要になる

相続人が全員相続放棄すると、故人の財産は「相続財産法人」となり、債権者がいる場合は家庭裁判所に相続財産清算人の選任申立が必要になるケースがあります。

なお、農地や空き家など処分に困る不動産がある場合は、相続した田んぼを処分する方法と手続きの流れや空き家相続の記事もあわせてご覧ください。

まとめ

相続放棄は「相続を知った日から3ヶ月以内」に家庭裁判所へ申述する必要があります。期限が迫っているときや、財産・負債の調査に時間がかかるときは、期間伸長の申立を早めに行うことが重要です。

「借金がどれくらいあるかわからない」「3ヶ月を過ぎてしまいそう」「手続きを自分でやるのが不安」という方は、専門家への相談をおすすめします。

滋賀相続相談所では、税理士・司法書士が連携して相続放棄の相談から手続きまでをサポートしています。初回相談は無料です。

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