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【2026年度税制改正】貸付用不動産の相続税評価が変わる

目次
2026年度税制改正で何が変わるのか
相続税の節税対策として活用されてきた「貸付用不動産」の評価ルールが、2026年度税制改正で大幅に変わります。この改正により、従来よりも高い相続税評価額となる可能性が高まるため、現在の対策を見直す必要があります。
改正の背景:なぜ変わるのか
従来、相続の直前に多額の借入れで不動産を取得し、評価減をフルに活用することで、実態に比べて過度に課税価格を圧縮していたケースが問題視されていました。この「節税スキーム」に規制をかけるための改正です。
具体的には、以下のようなケースが念頭に置かれています:
- 駆け込み取得型:相続開始前に大型の賃貸物件を購入し、借入金による評価減で相続税を大幅に渝額
- 新築活用型:所有していた土地に駆け込みで建物を新築し、相続時には大幅な評価減を享受
- 不動産小口化商品:小口化された投資商品の購入による節税効果の過度な活用
改正内容:新しい評価ルール
適用対象と適用時期
- 適用時期:令和9年1月1日(2027年1月1日)以後に相続・贈与により取得する財産から適用
- 対象となる不動産:被相続人等が相続開始前5年以内に対価を伴う取引により取得または新築した一定の貸付用不動産
「8割評価」ルールの導入
改正後、該当する貸付用不動産は以下のルールで評価されます:
> 通常の取引価額の80%に相当する金額で評価
具体的には、取得価額を基に地価の変動などを考慮して計算した「通常の取引価格」の100分の80(つまり8割)の金額によって相続税評価額が決定されます。
例:取得価額5,000万円の賃貸物件の場合
- 従来の評価方法:借入金による評価渜、建物の償却資産評価などで1,500万円~2,000万円程度に圧縮できるケースもあった
- 改正後の評価方法:通常の取引価格(例えば4,500万円)の80% = 3,600万円で評価される
「5年ルール」の導入
改正では「相続開始前5年以内の取得」という時間的要件が設けられました。これにより:
- 5年以上前に取得した不動産は、従来通りの評価方法を適用
- 相続開始直前の駆け込み取得による節税効果が失われる
例外規定(経過措置)
以下に該当する不動産には、改正ルールが適用されません:
- 既存所有地への新築:通達に定める日までに、5年以上前から所有している土地に新築した家屋
- 建築中の物件:同日において建築中の家屋
この経過措置により、従来から計画していた相続対策については一定の配慮がなされています。
最も影響を受けやすいケース
以下に該当する方は、相続税評価が大幅に上昇する可能性があります:
①近年、多額の借入れで賃貸物件を購入した方
相続開始前5年以内に購入した賃貸アパートやマンション、賃貸事務所などは要注意です。従来よりも高い評価額が適用されるため、相続税の負担が増加します。
②不動産小口化商品に投資している方
改正では任意組合型・賃貸型・信託受益権型の不動産小口化商品も対象となり、取得時期に関わらず新ルールが適用されます。このため、以前に取得した商品でも評価が変わる可能性があります。
③相続を控えた時期に不動産購入を予定していた方
相続税対策としての駆け込み購入は、改正後ほぼ効果がなくなります。むしろ相続財産を増加させるだけの結果になる可能性があります。
改正への対応策:今からできることは
1. 現状把握と評価額の再計算
保有している賃貸不動産について、改正後の評価額がいくらになるのかを計算し直してください。特に、以下の情報が重要です:
- 不動産の取得時期(相続開始前5年以内か否か)
- 現在の市場価格(通常の取引価格)
- 借入金の残高
2. 遺産分割計画の見直し
改正により不動産の相続税評価が上がるため、従来の遺産分割計画が機能しなくなる可能性があります。相続人間の課税額の不公平が生じないよう、事前に分割計画を見直しましょう。
3. 生命保険で相続税を減らす方法の活用
相続税評価が上がる分、生命保険を活用した相続税対策がより重要になります。生命保険金は非課税枠(500万円×法定相続人数)があるため、効果的に活用することで相続税を渝額できます。
4. 小規模宅地等の特例の確認
居住用や事業用の宅地については、「小規模宅地等の特例」により評価額を最大80%渝額できます。この特例が適用可能かどうか、改めて確認しておきましょう。
5. 贈与税の課税方法が改正された内容を踏まえた検討
2026年度には贈与税の課税方法も改正されています。相続税と贈与税の両方の改正を総合的に勘案した対策を立てることが重要です。
具体例:改正によって相続税はいくら増えるか
設定:配偶者と子ども2人が相続人(相続財産10,000万円)
| 項目 | 改正前 | 改正後 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 取得価額5,000万円の賃貸物件(5年以内取得) | 1,500万円で評価 | 4,000万円で評価 | +2,500万円 |
| 相続財産総額 | 6,500万円 | 9,000万円 | +2,500万円 |
| 相続税(配偶者の非課税額適用後) | 約400万円 | 約650万円 | +250万円 |
このように、単一の不動産でも、相続税負担が大幅に増加する可能性があります。複数の不動産を保有している場合は、さらに影響が大きくなることが予想されます。
まとめ
2026年度税制改正による貸付用不動産の評価ルール変更は、相続税対策の抜本的な見直しを迫っています。
- ✓ 2027年1月1日以後の相続から適用
- ✓ 相続開始前5年以内の取得が対象
- ✓ 「8割評価」により、従来よりも高い課税価格となる可能性
- ✓ 不動産小口化商品も対象に
特に、近年大型の賃貸物件を購入した方、不動産小口化商品に投資している方は、早期に相続税シミュレーションを実施し、対策を講じることをお勧めします。
生命保険、贈与税活用、小規模宅地等の特例など、複合的な対策を組み合わせることで、相続税負担を最小限に抑えることが可能です。
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