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教育資金の一括贈与が2026年3月末で終了|代わりになる非課税制度と相続対策

2026年03月21日
税務
教育資金の一括贈与が2026年3月末で終了

教育資金一括贈与の非課税制度が2026年3月31日で終了します。最大1,500万円の特例廃止後、孫への教育資金を効率的に渡す方法は。暦年贈与と相続時精算課税制度の比較を解説。

教育資金一括贈与の非課税制度が2026年3月31日で終了します。最大1,500万円の特例廃止後、孫への教育資金を効率的に渡す方法は。暦年贈与と相続時精算課税制度の比較を解説。

教育資金一括贈与は2026年3月31日で終了

「孫の教育費に充てるために、まとまったお金を渡したい」という祖父母世代の相談は多いものです。これまで、その実現を助けるのが教育資金一括贈与の非課税制度でした。ところが、この制度は2026年3月31日をもって廃止される決定が2025年度税制改正大綱で確定しました。

廃止までは残り2か月弱。4月以降、孫への教育資金はどのような方法で渡すのが税効率的なのか。滋賀県内で相続に関する相談を受けていると、この不安を口にされる方が増えています。今のうちに選択肢を理解しておくことは、相続対策全体の計画を立てる上で重要です。

廃止される制度の概要をおさらい

教育資金一括贈与の非課税制度は、平成25年(2013年)4月から運用されてきました。祖父母が子や孫の名義で金融機関に専用口座を開き、教育資金をまとめて拠出すると、その後の教育費支出に充てた部分について、贈与税がかかりません。最大で1,500万円まで非課税であることが特徴でした(学校等への支払いが1,500万円、学校外の費用である塾や習い事が500万円までという区分がありました)。

非課税の対象は入学金や授業料のほか、教科書、学用品、修学旅行費まで幅広い費目に対応していました。

滋賀県内の地主家族から「長男の大学進学に向けて1,500万円を預けたいが、どうすればいいか」という相談を受けたことがあります。

なぜ制度が廃止されるのか

制度廃止の理由は、主に利用実績の低迷です。国税庁の発表によると、直近の利用件数は約6,800件程度にとどまっており、年々減少傾向にあります。実は2013年の創設当初は、「祖父母から孫への資産移転を促進する施策」として期待されていたのですが、実際には限られた家庭にしか活用されませんでした。

その理由は単純です。1,500万円をまとめて拠出できる資力のある世帯が、そもそも限定的だからです。加えて、一度口座を開いても、教育費以外の目的で解約する場合は贈与税が遡及的にかかるなど、制度設計上の複雑さもありました。

政府・与党は「格差の固定化につながる制度では本来の相続税改革の趣旨と合致しない」と判断し、廃止を決めたのです。

2026年4月以降:孫への教育資金をどう渡すか

では実際のところ、制度廃止後は何もできなくなるのか。いいえ、そうではありません。ただし方法を分けて考える必要があります。

代替手段①:暦年贈与(毎年110万円の基礎控除)

最も基本的な方法は、毎年110万円以下の金額を渡す暦年贈与です。年間110万円なら、だれが誰に贈与しても贈与税がかかりません。これは所得税の基礎控除のように、贈与税法で決められた枠です。

祖父母が孫に毎年110万円を10年間贈与すれば、合計1,100万円が非課税で移転できます。教育資金用に限定する必要もなく、その後の生活費や将来の資金に充てても問題ありません。

ただし注意点があります。2024年1月1日以降の贈与から「生前贈与加算期間」が相続前3年から7年に延長されました。つまり、相続開始前7年以内にした暦年贈与は、相続税の課税対象に加算される可能性があります。「3年ルール」は廃止されたと考えてください。

この変更により、単純に毎年110万円を渡すだけでは、長期的な相続対策としては効率が低下しています。

代替手段②:相続時精算課税制度(2,500万円の生涯非課税枠)

もう一つの選択肢が、相続時精算課税制度です。これは累積2,500万円までの贈与に対して、贈与税がかからないという制度で、贈与税の納税を相続税まで先送りするイメージです。

相続時精算課税を選択した場合、特定の親からの贈与は2,500万円までが非課税です。ただし2,500万円を超えた部分には贈与税がかかります。

ここで重要な改正が2024年(令和6年)1月1日に施行されました。相続時精算課税の適用を受ける場合でも、年間110万円の基礎控除が適用されるようになったのです。つまり、毎年110万円は相続税の計算でも加算されず、そこから先の部分だけが2,500万円の枠にカウントされます。

具体例で見ると、相続時精算課税を選択した祖父母が毎年130万円を孫に贈与する場合:

  • 110万円は基礎控除で非課税
  • 20万円が相続時精算課税の枠を使用
  • 贈与税はかからない

この仕組みにより、教育資金の一括贈与が廃止されても、相続時精算課税と毎年の基礎控除を組み合わせれば、一定の非課税メリットを受けられるようになりました。

教育資金一括贈与の残額はどうなるか

すでに教育資金一括贈与の口座を開いている家庭は、残高が気になるところです。朗報として、2026年3月31日までに拠出された資金は、制度終了後も引き続き非課税で使い続けることができます。つまり、4月以降の払い出しも非課税です。

ただし注意が必要な点もあります。資金が使い切れずに残ったまま拠出者(祖父母)が死亡した場合、一定の条件で残額が相続税の対象になります。特に2023年4月以降に拠出された分は、原則として相続財産とみなされるため、遺産分割の対象や相続税申告で気をつけなければいけません。

相続税申告の経験が必要な理由

教育資金贈与の終了と新しい贈与制度への切り替えは、単に「お金の渡し方」の問題ではありません。相続税全体の計画と深く関わります。

たとえば、相続時精算課税を選択することは「相続のときに贈与分をすべて足し戻す」という決定です。一度選ぶと、その親からの贈与についてはずっとその制度が続きます。撤回はできません。

また、暦年贈与と相続時精算課税の使い分けは、相続人の人数、資産規模、相続予定時期によって最適な方法が変わります。「孫のために毎年110万円渡す」という単純な判断では、後々の相続税申告で思わぬ追加納税を招くこともあります。

滋賀県内での対応:相続時精算課税制度の活用

滋賀県内の多くの家族が同じ課題に直面しています。農業経営や不動産賃貸で事業資産を持つ滋賀県の中堅家庭では、次世代への資産移転がより重要になります。

教育資金一括贈与の廃止を機に、相続時精算課税制度を活用した生前対策に切り替える家族が増えると予想されます。その際、以下の検討が必要です:

  • 相続時精算課税を親ごとに選択するか、暦年贈与に統一するか
  • 複数の子や孫への贈与の場合、制度の組み合わせをどうするか
  • 相続税の概算納税額を見込んで、何年かけて資産移転するか
  • 事業承継と教育資金贈与の両立が必要な場合の順序

これらは税務と法務の両面から検討が必要な課題です。

3月末までの駆け込み申請と4月以降の新体制

2026年3月末までは、まだ教育資金一括贈与の口座を新規開設できる最後の機会です。「1,500万円の枠を活用したい」という判断なら、金融機関への相談を急ぎましょう。多くの銀行や信用組合では、3月中旬から下旬は手続き件数が集中する傾向にあります。

一方、4月以降に教育資金を贈与する予定の家族は、相続時精算課税制度か暦年贈与かを事前に決めておくことが大切です。どちらが有利かは、相続発生時期や資産構成によって異なります。

まとめ

教育資金一括贈与の非課税措置は2026年3月31日で廃止されますが、それ以降も教育資金を非課税で移転する方法は存在します。相続時精算課税制度と暦年贈与の基礎控除を活用することで、計画的な資産移転は可能です。

重要なのは、「3月31日で何もできなくなる」と慌てるのではなく、自分たちの家族構成と資産規模に合わせて、最適な手段を選ぶことです。制度の廃止を機に、相続全体の見直しを専門家に相請することをお勧めします。

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