遺言書

TESTAMENT

遺言書

大切な人を守るため あなたの想いを残しませんか

「遺言書」とは相続人を無用な争いに巻き込まないため、あなたの想いを書面に残したものです。
相続問題で一番多いのは間違いなく相続人同士の争い(争続)であり、これは相続財産の多寡に関わらず誰にでも起こりうる問題です。しかし、「お亡くなりになった方の意思がはっきり残されている」場合は争いが起こる可能性はグンと減ります。
のこされる大切な人たちを守るためにも、あなたの想いを形にして無用な争いを未然に防いであげて下さい。

遺言書を作った方がいい方

遺言書は、相続財産の多い一部の資産家だけが作るものだと思っていませんか?普通の家庭であったとしても相続人同士の争い(争続)に発展する事は多々あります。

特に遺言を残す必要があると思われるケース

  • 相続に自分の意思を反映したい方
  • 家族関係が不仲な方、複雑な方
  • 内縁の妻や配偶者の連れ子に財産を残したい方
  • 子どもがいない方、相続人がいない方
  • 障害を持つ子供に財産を多く残したい方
  • 特定の子供には財産を残したくない方
  • 事業の承継者に必要な財産を相続させたい方
  • 遺産のほとんどが不動産の方

遺言をのこさなかった事による失敗例

下記は子供がいない方のケースです。

  1. 夫がお亡くなりになりになった方。
  2. 子どもはいない。
  3. 夫のご両親も亡くなられている。
  4. 遺産はご自宅(2,000万円)、現預金(1,000万円)

こちらの方はお子さんがいないため、当然自分が全て相続するものと思っていました。
ところが暫らくして被相続人(夫)のご兄弟から「自分も相続をする権利があるはずである」との申し出がありました。

専門家に相談してみたところ「遺言書がなければ夫のご兄弟には法定相続分である4分の1を支払う必要がある」と言われ、結果、相続財産の4分の1である現預金750万円が夫のご兄弟の相続財産となり、当てにしていた現預金の大半を受け取る事が出来ませんでした。

このケースを防止するには

夫のご兄弟には法定相続人となる権利はありますが遺留分はありません。
このような場合、夫が遺言書に「妻に全ての財産を相続させる」と書いておけば全ての財産を奥様が引き継ぐことができました。

このようにお子さんがいらっしゃらない場合は、親やご兄弟が法定相続人になる事がありますので注意が必要です。

遺言書の法的効力

遺言書は、あくまで残される大切な人たちに向けたメッセージですからどのような内容であっても特に制限はありません。
ですので、遺言者の想いを伝えるためにも遺言者の心情や意思を「付言事項」として遺言書に織り込む事はとても重要です。
一方で、遺言書は民法で対象に出来る遺言の事項が定められていますので、ここでは定められた事項をご説明いたします。

相続について

それぞれ相続人に対する相続分の指定
法定相続分の割合と異なった相続分を相続人に指定する事ができます。
遺産分割方法の指定
遺産によってはその遺産をどのように分割するかを指定する事ができます。
具体的には、換価分割、代償分割、共有など。
また、誰に何を相続させるかについても指定する事ができます。
相続人間の担保責任の定め
遺産分割で取得した財産について何らかの問題があった場合(他人のものであったり、他人の権利が付着しているなど)、その取得した相続人を保護するため、他の相続人に損害賠償請求や解除を求める事ができますが、その義務を遺言で軽減したり加重したりする事ができます。
遺留分の減殺方法の指定
相続人の遺留分についてその減殺の順序や割合を指定する事ができます。

財産処分について

遺贈
遺言書に書き記す事で、法定相続人以外の人に遺産を譲り渡す事ができます。
なお、遺贈には特定遺贈包括遺贈とがあります。
信託の設定
財産の管理や運用をしてもらうため、信託銀行に信託設定をする事ができます。

身分について

法定相続人の廃除とその取り消し
遺言者の意思により法定相続人(遺留分を持つ推定相続人)を相続人から廃除する事ができます。また、取り消す事もできます。
子供の認知
婚外の子供を認知する事ができます。認知された子供は相続人となります。
未成年後見人の指定
相続人で、親権者のいない未成年者には遺言により後見人を指定する事ができます。
遺言執行者の指定
遺言の内容を執行してもらう人(遺言執行人)を指定する事ができます。
祭祀主宰者の指定
祖先のお墓や仏壇など引き継ぐ人を単独で指定する事ができます。

遺言書の種類と特徴

普通方式の遺言書には3種類あります。

それぞれの遺言書の特徴は以下の通りです。
遺言書の作成にあたり、まずはそれぞれの特徴をご確認ください。

自筆証書遺言
紙とペンさえあれば遺言者お一人でできますので、コストもかからず簡単です。また、他人に秘密にしておけるというメリットもあります。
しかし、一人で作成するため、法的要件不備のため無効となる事も。また、遺族に遺言の存在を知られない危険性や紛失・偽造・隠匿といった恐れもあります。
公正証書遺言
公証人に作成してもらい、原本も公証役場に保管します。そのため法的にも安全で確実です。
ただし、その分費用もかかります。また、証人立会が必要なため自分だけの秘密にする事はできません。
遺言書作成プラン
秘密証書遺言
遺言者がご自身で作成します。(代筆も可能)。そして、作成した遺言書を証人立会のもと公証役場に持ち込みます。
内容は誰にも知られませんし、偽造・隠匿の恐れもありません。
ただし、費用が生じます。また、法的要件不備のため無効となる恐れもあります。

遺言書の比較

こちらでは遺言書の中で自筆証書遺言と公正証書遺言の比較を掲載いたします。
遺言書作成の検討材料としてご活用ください。

  自筆証書遺言
(自宅保管)
自筆証書遺言
(法務局保管)
公正証書遺言
作者 遺言者自身 遺言者自身 遺言者が伝えた内容を
公証人が文書化
作成方法 原則:手書き 原則:手書き 公証人が作成
財産目録などはパソコンでも可 財産目録などはパソコンでも可
余白などの大きさに指定あり
保管場所 遺言者が保管 法務局が保管 公証人が保管
費用(実費) 無料 3,900円 内容や財産によって変動
(5~10万円程度が一般的)
住所などを
変更したとき
手続き不要 手続き必要 手続き不要
家庭裁判所の検認 必要 不要 不要
遺言者死亡時の
通知制度
なし あり なし

自筆証書遺言や秘密証書遺言を作成される場合、遺言の内容を秘密にする事が出来ますが、かわりにその内容は確認されていないため法的に「無効」となるおそれがあります。
当相談所ではそのようなリスクをなくすお手伝いをしております。
よろしければ一度ご検討ください。

遺言書の書き方

遺言書はその種類によって書き方が法律で定められています。ここでは自筆証書遺言の書き方のポイントをご説明いたします。

遺言書作成の注意点

全文
自筆で記入。(パソコンやワープロ書きは法的に無効)筆記具は何でも大丈夫ですが、書き換えられる恐れもあるため鉛筆はお勧めしません。 用紙の制限なし。縦書き横書きは自由です。
日付・氏名
自筆で記入。(パソコンやワープロ書きは法的に無効)
捺印
認めや拇印でも構いませんが実印が好ましいでしょう。
加除訂正
訂正箇所を明確にし、その箇所に捺印の上署名

遺言書の記載例

遺言書の記載例

せっかく書いた遺言書も不備があると無効となってしまいます。
滋賀相続相談所ではそのようなリスクをなくすお手伝いをしております。
よろしければ一度ご検討ください。

遺言書の保管

遺言書をせっかく作っても、発見されなかったり、紛失してしまっては全く意味がありません。
しかし、デリケートな問題ですので分かりやすい場所も危険。
となるといったいどこに保管をすればよいのでしょうか。

保管の際に注意すべきこと

遺言書は自分で保管する場合、「信頼できる人」にだけ保管場所を伝えておくのがよいでしょう。
自分だけしかわからない場所に隠してしまうと、遺言書が発見されない可能性があります。それでは、のこされた人達に想いを伝えられませんし、余計な負担をかける事になってしまいます。
かといって分かりやすい場所も誰かの目に触れる可能性があるので危険です。
見つかりにくい場所に保管し、いざという時にその存在が明らかになるよう信頼できる人に伝えておくなどの工夫が必要です。
「信頼できる人」といっても身内や友人などはNG。
身内や友人などは、やはりトラブルになる可能性が高いですのでお勧め出来ません。
偽造や破棄などされてしまう事がないよう、慎重に相手は選ぶべきです。
出来れば専門家(弁護士、司法書士、行政書士)などに依頼(遺言執行者に指定)するのが安心ではあります。

遺言の種類により保管方法は異なります

「自筆証書遺言」
自筆証書遺言」を作成し保管する場合は、上記のように紛失・偽造・隠匿などおそれがあります。 ですので、よっぽど信頼できる相手に伝えておくか、専門家などに依頼(遺言執行者に指定)する方法がお勧めです。
「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」
一方で、公証人に依頼して作成する「公正証書遺言」や「秘密証書遺言」を作成される場合の保管方法については心配する必要はありません。 なぜなら、これらの遺言書については公証役場に保管されるため、第三者に偽造や破棄されるといったリスクから解放されるからです。 ただし、公証役場に保管している事は誰かに伝えておく必要があります。

遺言実行の流れ

相続開始してから遺言書があった場合、どのようにして遺言は実行していくのでしょうか。
ここでは、相続人が遺言書の存在を知ってからの簡単な流れを説明します。

  • 1

    検認

    遺言書を見つけた場合は速やかに家庭裁判所に持っていきます。
    家庭裁判所では相続人立会のもと遺言書が開封され、検認されます。検認(遺言書の形式や状態の調査)の結果問題がなければ検認調書という公認文書となります。
    なお、「公正証書遺言書」は最初から公文書扱いのため検認は不要です。

    検認を受ける前に遺言書を開封しないよう注意ください。
    遺言の偽造や改ざんなどが認められると、相続権を失う事や、刑事罰である過料が課されることもあります。

  • 2

    遺言執行者

    遺言の検認が終わりましたら、いよいよ遺言執行(「遺言の内容通りに実現」)となります。
    ただし、遺言書を実現する際には様々な手続きがあります。その手続きを執行するには遺言執行者を指定しなければならないケースもあります。

    遺言執行者が必要なケース

    <遺言執行者が必ずいるケース>

    相続人の廃除、廃除の取り消し
    遺言執行者が家庭裁判所へ申し立てをします。
    子の認知
    遺言に認知の記載がある時は、遺言執行人が戸籍の提出をします。

    <遺言執行者がいた方が良いケース>

    • ※遺言執行者がいない場合は相続人全員で手続きとなります。
    遺贈による財産引渡し
    遺言に従い、相続人以外の人に財産を引き渡す。
    遺産分割方法の指定
    遺言に沿って相続割合を指定し、遺産の分配をします。相続人全員の協力が得られない場合、遺言執行者が必要となります。
    解約・名義変更
    銀行口座の名義変更や解約は遺言執行者がいない場合、相続人全員となります。ただし、不動産の名義変更は取得者が自分で登記するか司法書士に依頼します。

    遺言者の決定

    遺言執行者は「未成年者」「破産者」以外でしたら個人、法人、複数に関わらず、誰でもなる事が出来ます。相続人や受遺者でもなる事は出来ますが、利害関係者が遺言執行者になると揉める元ですので、信頼出来る第三者か専門家に依頼するのが望ましいと思われます。

    遺言執行者は基本的には遺言により指定されます。ただし、遺言に指定がないものの遺言執行者が必要な場合は利害関係者の請求により家庭裁判所に選任してもらいます。

  • 3

    遺言の執行

    遺言執行者がいる場合は以下の通り、遺言執行(「遺言の内容通りに実現」)を行います。

    1.相続人や受遺者への通知
    遺言執行者になった旨を通知します。その際には遺言書のコピーを添付するとよいでしょう。
    2.財産目録の作成と交付
    相続財産の目録を作成して相続人や受遺者に交付します。
    3.遺言執行に関する説明
    遺言執行者には遺言に必要な一切の行為をする権利・義務があります。一方で相続人には遺言執行を妨げる行為は禁止されており相続人は財産の管理や処分は勝手にする事ができません。遺言執行を円滑に行うためにも事前に説明する事が重要です。
    4.相続の内容把握、引渡し準備等
    遺言執行にあたり相続財産の現況を把握する必要があります。全ての財産を調査し、必要によっては財産を現管理者から引き渡してもらいます。また、遺言の内容によっては受遺者に遺贈を受けるかの確認や相続人の廃除、子の認知などを行います。
    5.相続財産の引渡し、名義変更等
    遺言の内容に沿って相続財産の引渡を行います。預貯金の名義変更や解約など。なお、これらの手続きについて遺言執行者は相続人の印鑑等が必要ありません。

お客様の疑問Q&A

遺言書作成

  • 納税を意識した遺言とはどのようなものですか?

    例えば相続人Aには土地と建物を相続すると遺言書に記載していたとします。しかし、それだけでは収める税金の事が考慮されていません。

    納税を意識した遺言書とは、大雑把でも構いませんので大体の相続税額を予測しておき、現預金、若しくは生命保険などで納税資金も相続する旨を記載したものを指します。

  • あまり財産はないのですが、遺言はした方がいいですか?

    相続人が複数いる場合は遺産分割協議によって相続人の間で相続財産の分割が行われます。もし、相続でご自身の想いを反映したいとお考えでしたら遺言することをお勧めします。

    例えば、同居の子供に家を遺したいと思っても、相続人が複数いる場合は相続人間での協議によって売却してしまう事だってありえます。

    たいせつな人たちのためにもご自身の想いを一度形にされてはいかがでしょうか。

  • 遺言は何歳くらいからすればいいですか?

    遺言は何度だって書き直す事ができます。

    万一に備えるためにも遺言作成は早いに越したことはありません。

  • 特定の子供に全て相続する事はできますか?

    「特定の子供に遺産を全て相続する」と遺言に記載する事は可能です。

    しかし、他のお子さんの遺留分を侵害する事になりますので、後々争いが起こる可能性が残ります。一度専門家に相談される事をお勧めいたします。

  • 家族以外の方ですが、お世話になったので財産を残したいです。

    法定相続人以外の方に財産を残す(以下、「遺贈」)には遺言を作成する必要があります。遺贈をしたいと考えていても、遺言をしていなければ相続人どうしの協議で分割が決定します(遺産分割協議)ので残しようがありません。ご注意ください。

遺言書実行

  • 遺言書は必ず従わないとダメですか?

    必ずしもそういうわけではありません。相続人全員で遺産分割協議を行い全員の同意が得られれば遺言と異なる分割をする事ができます。

    また、遺言書で遺留分が侵されている相続人の方は他の相続人の同意がなくても遺留分減殺請求により遺産を確保する事も可能です。

  • 遺言書に書かれていない財産はどうしたらいいですか?

    遺言書に記載のない財産については、遺産分割協議により相続人の間で分割します。

  • 遺言書には載っているけど既にない財産は?

    遺言書を作成してから、実際に相続が発生するまで長い年月が経過している場合があります。

    遺言書に記載はされているものの既に売却されているなんて事も大いにあり得ます。

    そういった場合、実際の状況とは異なる遺言の内容については、その部分についての遺言は取り消され無効となります。