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相続放棄と財産を取得しないことの違い

2017年12月16日
法務税務

相続が発生した場合に、相続を放棄したとおっしゃる方がおられますが、これには以下に挙げる2つの意味が混同されているケースが多いように思います。

 

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①家庭裁判所で相続放棄の手続きをした場合

②遺産分割協議書に財産を取得しない旨の署名押印をした場合

 

この2つは同じような意味に思われる方が多いですが、実は明確な違いがあります。それは、銀行への借入金等の債務があった場合に現れてきます。

 

 ①の相続放棄は、被相続人が死亡してから3か月以内に家庭裁判所に申請することによりできますが、これは被相続人のあらゆる権利義務を承継することを放棄することになります。つまり、プラスの財産や、マイナスの債務がいくらあろうとも、これらを引き継ぐことなく、この相続から離脱することを意味します。一旦相続放棄の手続きをとると、撤回することは認められていないため、後から多額の財産があったことを知ってもどうすることもできません。相続放棄の手続きをする場合は、被相続人の財産状況をしっかりと把握することが大切になってきます。

 

 ②の遺産分割協議書に財産を取得しない旨の署名押印をした場合は、新たに財産が発覚した場合は、もう一度分割を行うことになりますので、これらを受け取る権利があります。しかし、遺産分割はプラスの財産について行うものですので、債務等のマイナスの財産は法律上法定相続分で分割されることになっています。よって、いくら遺産分割協議書に財産を取得しないと書かれていても債務があった場合は、銀行等の債権者から返済の請求をされる可能性があります。これを知らずに財産を全て一人の相続人に分割し、債務もその人が引き継ぐという協議書を作成したが、後から銀行に請求されて問題になっている事例もあります。これは、お金のない相続人に債務を押し付けることが可能だと、債権者が著しく不利な立場になってしまうからです。ただし、銀行等の債権者の合意があれば相続人一人に引き継ぐことも可能ですが、あまり合意する銀行は少ないのが現状のようです。

 

 相続放棄をする場合は、死亡日から3か月以内に行わなければならないですので、上記のことを踏まえて、被相続人の財産状況を整理し、早めに判断する必要があるでしょう。