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相続における物件漏れ

2018年04月24日
法務税務

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物件漏れとは

毎年5月になると、役所から固定資産税の納税通知書が各家庭に送付されてきます。相続が発生した場合、相続人の方はこの書面を手がかりとして、被相続人所有の不動産の一覧を把握されることが多いかと思います。大抵の場合は不動産を網羅しているはずですが、中には固定資産税の納税通知書に記載されていない為に物件漏れが生じることがあります。

相続において物件漏れが生じるケース

物件漏れが生じるケースとして以下の場合が挙げられます。

 

①公衆用道路(私道)

②用悪水路

③保安林

④墓地

⑤免税点以下(課税標準額の合計が、土地30万円未満、建物20万円未満)

※地方にゴルフ場建設の投機目的などで山林のごく一部やわずかな持分を購入した場合や、ご先祖が地方出身で都会に出てきた際に不動産の処分をしていない場合などで見かけます。

相続における物件漏れのリスク

物件漏れに気付かないまま手続きが進み登記まで完了してしまうと、再度漏れた物件についての遺産分割協議及び相続登記を要することになり、大変な手間となります。

 

また、相続税申告についても評価があるものは全て含める必要がありますので、修正申告しなければならないという事態に陥る可能性もあります。

 

ちなみに、修正申告をする場合はケースによって以下のペナルティが生じます。

 

「自主申告」

・延滞税

 

「税務調査で申告漏れを指摘された場合」

・延滞税

・過少申告加算税

・重加算税(悪質であると認められた場合)

相続における物件漏れの対策

相続における物件漏れのリスクを避ける為にも、以下の手続きにより積極的に物件の把握に努めることをお勧めします。

・権利書や図面の確認(手続きを開始したタイミング)

・評価証明書を請求(市役所)

 

また、遺産分割だけでしたら、遺産分割協議書の末尾に以下の記載をする事などで、万一物件の漏れが生じた際にカバーをする事が可能になります。

「ここに記載のない財産については、○○○○が取得することで同意します。」

 

ただしこの場合、不動産登記や相続税申告に関してはカバーできているわけではございませんので、結局のところは不動産登記を行うなり、相続税が生じる場合は相続税申告をしなおす必要が生じます。

 

つまるところ、物件漏れによる後からのフォローは本当に大変な事になりやすいですので、相続開始時に上記の方法などにより物件をきちんと把握するよう努められる事が最も重要となります。