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争続になった場合のデメリット

2017年09月15日
税務

被相続人が亡くなられた場合に、基礎控除を上回る相続財産がある場合には、亡くなられた日から10ヶ月以内に相続税の申告・納税を行う必要があります。

一方、相続財産の遺産分割は法律上期限がなく、相続税の申告期限後も話し合いを続けることは可能です。しかし、申告までに遺産分割がまとまらない場合には、相続人にとって下記に挙げる様な色々なデメリットが生じてきます。

 

 

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配偶者に対する相続税額の軽減が受けられない

配偶者は、法定相続分と1億6000万円とのいずれか大きい方までの財産の取得については課税されないという制度がありますが、未分割の財産については取得していないとみなされ、この制度が適用できないことになります。
仮に、財産総額が1億6000万円以下の相続があったとすると、全て配偶者が取得するという分割がきちんと確定していれば相続税が0になり、未分割であればまるまる相続税がかかるというような違いが生じることになります。
申告期限から3年以内に分割が確定すれば、納めた税金を還付してもらうことは可能ですが、一度は納税を行う必要があり、納税資金を準備しなければなりません。後述しますが、未分割の場合にはこの納税資金の準備が非常に困難になる可能性が高いのです。

小規模宅地等の特例が受けられない

被相続人のご自宅の土地や、事業用・貸付用宅地等は一定の要件を満たせば評価額を下げることが可能ですが、これも未分割の場合には誰が取得するかが決まっていないため、制度を適用することができません。
この特例は、評価減額が大きくなる可能性が高いため、分割が確定している場合とそうでない場合で大きく税額が変わる可能性があります。

凍結された預貯金口座の引出しができない

一度預貯金の口座が凍結されると、遺産分割協議書がないと引出し等ができなくなります。これは、暗証番号等を知っていれば一部の相続人が勝手に持ち出す可能性があるので、これを防止するための制度ですが、逆に分割がまとまらなければいつまでたっても預貯金を動かすことができません。
また、被相続人名義の不動産の売却もできません。これがさきほど納税資金の準備が非常に困難になる可能性が高いと述べた要因です。相続財産から相続税の納税資金を準備することができないため、自己資金でこれをまかなう必要がでてきます。

最後に

ここに挙げたものは主なデメリットだけであり、その他にも様々なデメリットが生じる可能性があります。

上記で述べたように申告期限までに分割がまとまらなかった場合でも、申告期限から3年以内に分割が確定すれば、遡って申告を訂正することは可能です。
しかし、この申告期限内にまとまらないような争いがある場合には、その後もまとまらない可能性が高いと考えられます。分割がまとまらないことは相続人全員にとってのデメリットとなり、親族の仲が悪くなる原因にもなります。
スムーズな分割の確定のためには、遺言書の作成や、生前贈与、事前の話し合い等の生前対策が非常に大切になります。特に、相続税がかかりそうな場合には、事前準備をしっかりと行い、いざ相続が発生した場合には争いがないようにしたいものですね。